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「蒲焼店が考える“これから”」87 〜2016年11月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


原田恵介店主
(うなぎの三河/愛知県豊田市)

「昔からある技術を変えずに続けていくことが大事」

今年も早いもので残り1ヶ月余りとなった。昨今は一気に冬らしい寒さに見舞われ、消費は低迷、荷動きの指標となる、東京淡水魚卸協同組合の10月分のデータを見ても依然として昨対減が続き、厳しい状況を強いられている。専門店においても売行きが懸念されるところだが、店舗改装の効果、あるいは利益率などどのように推移しているだろうか。

「7月に店舗改装したこともあり、昨年より売り上げは伸びています。仕入れ値が上がっているため、売り上げが伸びても利益があまりない感じがします」

夏場以降、多くの専門店間では、昨年以上に売行きの落ち込みが顕著だったという声が案外、目立った。加えてオフシーズン、値下がっても未だ一昔前に比べて高い水準にある活鰻価格。そうしたなか、販売促進、あるいはインバウンド消費のためにどのような対策を実施されているか。

「Facebook、LINE、TwitterなどのSNSを利用した宣伝をしています。一方、インバウンド消費に対しては、立地的に外国人旅行者は少ないのでとくに対策はとっていません」

ところで、貴店にとってどのようなウナギが良いウナギと呼べるのか。また国内では現在、国産は無論、台湾産、中国産が流通しているなかで、海外産に対してどのような考えを持っているのだろうか。またその理由は何だろうか。
「国産の3.5尾か、4尾を使用しています。仕入れの問屋は父の代から50年以上の付き合いなので、信頼して仕入れしています。当店では肉厚の太いうなぎを皮をぱりっと身をふっくらと焼き上げるので、ほどよい脂の乗ったうなぎが良いと思います。中国産を使用する事がたまにありますが、脂が乗り過ぎて焼きにくい印象があります」

ウナギ資源を取り巻く状況は依然として厳しい状況に置かれている事は、先日行なわれたうなぎ未来会議でも改めて浮き彫りとなった。兼ねてから注目された、ワシントン条約に関しては今回、掲載回避となったものの、次回開催時(2〜3年後)には、ニホンウナギがかなり厳しい状況に置かれる可能性は高く、見通しは決して明るくない。そんな資源問題に関してどのような意見を持っているだろうか。

「ウナギ完全養殖の研究には、国からもっと予算をつけて早期に実用化してほしいです。ウナギ文化は、日本を代表する文化でもあるので、国でウナギを守ってほしいです」

先行きが依然として見通せないウナギ資源問題と同じくらい、専門店に重くのしかかる重要な問題であるウナギ職人不足。この件について現在はどのような考えを持っているだろうか。

「チェーン店でうなぎが容易に食べられるのが原因だと思います。専門店で食べるうなぎをもっとメディアでPRしてもらいたいです。機械化が進み、職人が不足しているのはどの業界も同じかと思います。『安物買いの銭失い』をやめるべきだと思います」

大きく様変わりするウナギ業界。専門店としては今後、どうあるべきか。

「昔からある技術を変えずに続ける事が大事だと思います。アレンジはその先にあると思っています。変わらない定番メニューを守りつつ、時代に合わせたアレンジも必要になってくるのかと思います」

[データ]
「うなぎの三河」
〒444-3206 愛知県豊田市羽布町鬼ノ平1-16
電話:0565-90-3473

原田恵介店主ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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「蒲焼店が考える“これから”」86 〜2016年11月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


牧野 順二代表取締役
(廣川/京都市右京区)

『売上の5割以上が海外の方』

11月に入り半月、今年も残り1ヶ月半となった。最近は秋を通り越し、一気に冬らしい寒さに見舞われ、消費も一段と冷え込んでいる。オフシーズンのなか、これまでの高値が影響し、消費者のウナギ離れを起こすなど、荷動きは全体的に低調のまま推移している。専門店においても同様で、懸念される売行き、利益率などどのように推移しているだろうか。

「一昔前に比べますと、確かに利益率としては少し下がっております。しかしながら、当店においては売り上げ自体が毎年増加している為、利益そのものは増加しております」

昨年に比べて、多くの専門店で聞かれるように、夏場以降の売行きの急激な落ち込みが目立っている。ただ京都という場所柄、外国人も含め、常に多くの観光客でにぎわっていると思われるが、現状はどのような感じだろうか。

「観光都市、京都・嵐山という好条件の立地という事にも助けられ、ここ数年のインバウンド、特に蒲焼を食する文化のあるアジア圏からのお客様の勢いは凄いものがあります。また、SNSによる情報の伝達の速さ・広まり方もあり、現在においては売り上げの5割以上が海外の方によります。むしろ変化のあまりの激しさに、日本人の常連様が来にくくなる、という環境に悩んでおります」

ところで、良い鰻の定義、あるいは貴店で扱っているウナギに関して、国内で現在、流通している国産、台湾産、中国産とあるが、どのようなこだわり、あるいは考えを持っているのだろうか。またその理由は何だろうか。

「もちろん食されたお客様が美味しいと言っていただけるのが良い鰻です。当店では国産のみ使用していますが、中国産・台湾産とも美味しい鰻はあります。しかしながら、生産者を指定・特定するのが困難な為、使用しておりません」

ウナギ資源を取り巻く状況は依然として厳しい状況と言わざるを得ない。ワシントン条約に関しても今回は、掲載回避となったが、次回においてニホンウナギはかなり厳しい状況に置かれる可能性は高く、見通しは決して明るくない。そんな資源問題に関してどのようなご意見をお持ちだろうか。

「日本古来の淡水魚(ウナギを含む)が減少しているのは河川の環境の悪化にもあると思います。下りウナギの採取は無論、禁止するべきだと思います。完全養殖は本当に必要とあれば、官・民(養鰻業者・小売業者)挙げて取り組むべきです」

引き続いて、先が見通せないウナギ資源問題。一方で、同じくらい重要な問題がウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか。

「技を極めたウナギ職人が高給を取り、プライドを持てるような職場環境を増やしていく事だと思います」

前述のようにあらゆる場面で、様々な課題を抱えるウナギ業界。ウナギ資源問題をはじめ、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、取り巻くものはどれも厳しい者ばかりだ。そうした状況下、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか、どのような思いがあるだろうか。

「ウナギの価格が上がる事は、むしろ専門店にとっては良い事だと思います(もちろん程度はありますが)。スーパーでも、鰻蒲焼はもはや高値であるなら、焼きたての蒲焼を”ご馳走“として専門店で食べようという形になれば理想と考えます。海外のお客様からは『生まれて初めてこんなに美味しいものを食べた』と嬉しい反応を多数いただきます。ウナギにこだわり、技術を磨き、高級食として、日本を代表する料理の一つとして、鰻蒲焼を広めていければと切に思います」

[データ]
「廣川」
〒616-8374 京都市右京区嵯峨天龍寺北造路町44-1
電話:075-871-5226

蒲これ牧野順二代表ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」85 〜2016年11月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


髙安 啓祐代表取締役
(高田馬場伊豆栄/東京都新宿区)

『どのようなウナギでも美味しく作る技量を追求』

11月に突入し、今年も早いもので残り2ヶ月となった。時折肌寒い日もある等、秋もより一段と深まってくる。業界はオフシーズンまっただなか、これまでの高値安定の影響から、9〜10月の活鰻相場の値下がりも、依然として荷動きは低調のままだ。懸念される売行き、あるいは利益率などどのような感じで推移しているだろうか。

「売行きに関しては9〜10月の店売りは若干の落ち込みにとどまっていました。しかし、一方の出前に関しては急激な落ち込みとなりました。また仕入れ価格の、高値安定は厳しいものがあります」

今年は昨年に比べて、多くの専門店で聞かれるように、夏場以降の売行きの急激な落ち込みが目立っているという。そのままの悪さをこのオフシーズンに引きずり、引き続いて厳しい販売を強いられている声も聞く。そうしたなかで貴店での販売促進、あるいはどのようなインバウンド対策を実施しているのだろうか。

「現在、とくに販促はしておりません。一方、インバウンド消費に対する対策に関しては、これからメニューの作成等をしていく予定です。また、業界などで無形文化遺産の“和食”でウナギをアピールしてみてはいかがでしょうか」

ところで貴店では現在、どのようなサイズの活鰻原料を扱っているか。また“良いうなぎ”とは具体的にどのようなものを言うのだろうか。また調理をする際に大切な事とは何だろうか。

「ウナギは、国産(愛知三河一色産)の5尾サイズを扱っています。問屋から仕入れるウナギを良いものと信用しています。それよりも、どのようなウナギでも美味しく作る技量を追求していく事がとても大事だと常に考えております」

業界の注目を集めた、ワシントン条約締約国会議(CoP17)が先月4日、閉会した。ニホンウナギの附属書への掲載は回避されたが、EUからは“ウナギの資源、流通実態の調査”の宿題を課せられた。依然として、ウナギに対する世界からの注目度は高い状況で、引き続いて先行きが懸念されるところだ。近年、大きくクローズアップされるウナギ資源問題についてはどのような意見を持っているだろうか。専門店間では、“天然ウナギを使用しない”動きが目立っているが、そのほかにもウナギ完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動の動きも目立っている。最近では全蒲連が500万を超える募金を集め、話題になっている。

「資源保護に関しては、まず業界をあげて天然ウナギを漁獲しない、扱わないということでしょう。しかし資源保護に関してはこれだけではなく、それぞれの業態がお互いに自制していくことも重要かと思います」

深刻な状態にあるウナギ資源問題だが、同様にとても大切な、もうひとつの問題がウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか。

「ウナギ資源問題はじめ、見通しの悪い業界だけに職人不足問題解決には、相当、難しいものがあると考えています」

前述のようにあらゆる場面で、何かと話題になるウナギ資源問題をはじめ、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、ウナギ業界を取り巻く環境は厳しい者がある。そうした状況のなかで、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか、あるいは何をしていくべきだろうか?

「常に、基本に忠実に良い仕事を心がけて、美しいウナギをお客様に提供し続けることです」

[データ]
「高田馬場 伊豆栄」
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場4-13-12
TEL:03-3361-1003

髙安啓祐 ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」84 〜2016年10月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


田口敏男店主
(田口屋/埼玉県久喜市)

『職人不足は深刻。若い人にはどんどん実施してもらっている』

11月も間近に迫り、秋もさらに深まってくる。業界にとってはまさにオフシーズンまっただなか、これまでの高値安定もあり、活鰻の荷動きは低調のままだ。懸念される売行き、あるいは利益率など、どのような感じで推移して来ているだろうか。

「昨年同時期と比べ、鰻の売行きは落ち込んでいます。昨年は9月以降、少しずつ落ち込んだ印象ですが、今年は急激な落ち込み方です。また繁忙期より活鰻の値が下がりましたが、高値安定は苦しい状況です」

今年は昨年に比べて、とくに夏場以降は急激に売行きが落ち込んでおり、さらに厳しい販売を強いられているとのことだが、そうしたなかで貴店での販売促進、またどのようなインバウンド対策を実施しているのだろうか?

「販売促進はホームページ等で充実させています。圏央道開通もあり、遠方のお客様が増えた感じです。インバウンド消費対策は、当店ではこれからメニューに英語や中国語、韓国語など併記する予定です」

ところで貴店では現在、どのようなサイズの活鰻原料を使用しているか。また“良いうなぎ”とは具体的にどのようなものをいうのだろうか?そして養鰻業者への要望は何だろうか。

「扱っているサイズは4.5P、3.7Pです。また、良いうなぎというのは活鰻の色がきれいであること、他にも割きやすく、串打ちしやすい、そして白を入れても身の縮みが少ない、ふっくらとした鰻ではないでしょうか。ちなみに、養鰻業者さんへは身が硬くならないように育ててほしいです。なお、扱っている活鰻は、国産と台湾産です」

多くのメディアが取りあげた、ワシントン条約締約国会議が今月4日、閉会した。ニホンウナギの附属書への掲載は回避されたものの、EUがウナギの資源、流通実態の調査を提案している。それほど、ウナギに対する注目度は高い事の表れで、先行きが非常に気になるところだ。近年取りざたされるウナギ資源問題についてはどんな意見を持っているだろうか。専門店間では、“天然ウナギを使用しない”動きが目立っている他、完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動の動きも出ている。

「以前は、お客様から“釣った天然うなぎをさばいてください”とよく頼まれました。しかし、現在はお断りして、保護に協力していただいております」 

深刻な状態にあるウナギ資源問題だが、同様に看過出来ないもうひとつの問題がウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか?また貴店では、そうした問題に対して、これまでにどのような対策を実施しているだろうか。

「職人不足は深刻な問題です。今は昔のような“串打ち3年、割き8年、焼きは一生”、と言われる時代ではないと考えます。弊店では若い人にはどんどん教え、実践してもらっています。確保については週休二日制を考えています」

前述のようにあらゆる場面で取り沙汰されるウナギ資源問題をはじめ、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、ウナギ業界は一昔前に比べ、一変しています。そうしたなかで、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか、あるいは何をしていくべきだろうか?

「美味しいうなぎを提供することは当然ですが、日本食は寿司、天ぷら、うなぎ、と言われるよう、これからも引き続いて努力していきたいと思っています」

[データ]
「田口屋」
〒346-0113 埼玉県久喜市菖蒲町下栢間2106
TEL:0480-85-0496

田口敏男店長ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」83 〜2016年10月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


洪 習検営業本部長
(赤坂ふきぬき/東京都中央区)

『ムダ、ムリ、ムラのない営業が食材を大事に取り扱う原点』

10月に突入し、徐々に秋らしくなって来た。オフシーズンの中、最近は天候の不安定さも相まって、ウナギ業界からはいささか元気が伝わってこない。近年は、シラスウナギ不漁を背景に活鰻相場も高値で推移して来た中で、気になる利益率はどのような感じで推移して来ているだろうか。

「毎年、利益率は低下傾向にあります。メニューアイテムの変更、あるいは売価調整などをしながら営業していますが、(近年の仕入れ高による)売価への転嫁は限界があるのが現状です」

前述されたように、近年の仕入れ高を背景に厳しい販売状況を強いられる中、貴店での販売促進、またどのようなインバウンド対策などを行なっているのだろうか?

「SNSにおいて英語、中国語、韓国語、タイ語のメニュー提示をさせていただいています。なお、販売促進活動は、基本的には、国内においてのみです」

ところで貴店では現在、どのようなサイズの活鰻原料を使用し、また扱う産地へのこだわりとともにその理由にはどのようなものがあるのだろうか?

「扱いサイズに関しては、4尾、5尾中心に商品を展開しております。以前は時期によって、台湾産を併用し、使用していましたが、ここ数年は国産のみの使用となっております。一昔前に起きた産地偽装の問題もあり、消費者の国産に対する根強いニーズと、外国人旅行者の国産への関心の高まりもあります。また原価においても外国産(台湾産、中国産)を使用するメリットが以前より、少ないのも現状です」

何とかニホンウナギの掲載は回避された今回の“ワシントン条約締約国会議”だが、近年取りざたされるウナギ資源問題についてはどんな意見を持っているだろうか。専門店間では、“天然ウナギ不使用”、または完全養殖の商業化に向けた研究機関への募金活動の動きも出ているが。

「天然ウナギはここ数年、使用していないのが現状です。私どもではムダ、ムリ、ムラのない営業をする事が一番であり、それが食材を大事に取り扱う原点と心がけております」

ウナギ資源問題が昨今、大きくクローズアップされているが、一方では同様に深刻さを増している、気になる職人不足問題についてはどのような考えを持っているだろうか?また貴店の対策として、どのような働きかけを行なっているだろうか。

「専門学校からの新卒を採用出来るように動いています。通年一名程度ではありますが、採用出来ている状況です。鰻料理人としての将来性、やりがいを最初の研修で意識付けをしています。自信、自慢出来る仕事である事、料理人として考え方、食(鰻)を通じて、お客様を幸せに出来る事のすばらしさを伝えています」

前述したように近年はウナギ資源問題、職人問題、マーケットの縮小など、ウナギ業界は一昔前に比べると大きく様変わりしています。そうしたなかで、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきなのか、あるいは何をしていくべきだろうか?

「伝統を引き継いでいく使命があると考えます。鰻を通して、食の世界の素晴らしさを伝える事、また鰻文化継承のために、人材育成をしていく事!問題は山積していますが、あきらめないで前向きに進んでいく事が大切だと感じ、日々、精進しております」

[データ]
「赤坂ふきぬき」
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町3-4-7
ヒューリック日本橋室町ビル6階
TEL:03-3245-8120

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「蒲焼店が考える“これから”」82 〜2016年9月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


二代目 山下昌明氏(56)
(浜名湖自鰻「天保」/浜松市西区)

「業界ももっと間口を広く、世界から職人の育成を」
 
10月も間近に迫り、秋の気配を感じさせる今日この頃。うなぎ業界全体も完全なるオフシーズンに突入している。今夏の丑商戦、またその後の売れ行き、また仕入れが未だ高い水準にある中、利益率はどうだろうか。

「食堂のお客様は、前年より20%位よかったと思いますが、一方で白焼きのギフトはやや落ちたように思います。確かに仕入れは高かったのですが、当店では養殖場の池揚げが6月に一度、7月に二度あり、自前の鰻で50%ほど充足できました。利益率は過去の5,000円/kg時代よりはありました」

オフシーズンの中で、販促に対する働きかけ、あるいはインバウンド消費の取組みを何かしら行っているか?

「販売促進はホームページの充実と、かんざんじ温泉観光協会や浜松観光コンベンションビューローへの加盟で、結構、遠くからの来店もあります。インバウンドのお客様の取り込みの一環として、『浜名湖うなぎ探検隊』という養鰻城見学ツアーを実施、9/18にはシンガポールから26名の来店がありました」

専門店にとっての“良いウナギ”とはどのようなものを言うのか?また扱う産地へのこだわりは?

「良いウナギの定義は難しいのですが、個人的には背中の黒と腹の白のコントラストがはっきりしているものが良いように思います。また、やはり新仔の方は、ロスが少なく扱いやすいですね。ちなみに中国、台湾ものはここ20年位、使用していません」

“ワシントン条約”の件をはじめ、近年取りざたされるウナギ資源問題についてはどんな意見を持っているか。

「昨年、モロッコの養鰻場を見学させていただいたのですが、一年で生産する30%をクロコで自然に返しているといっており(国からの補助金があるらしい?)、こんな取り組みも必要かもしれません。また土用丑という業界にとって最大の消費イベントがありますが、逆に一年に一日位、うなぎを消費しない日を定め『うなぎ資源や水産資源について考える』ような日があってもいいのでは・・・」

ウナギ資源問題が昨今、大きくクローズアップされているが、同様に深刻化している。気になる職人不足問題についてはどのような考えを持っているか?

「うなぎ職人の不足は水産業界全体の人出不足と言えるでしょう。遠洋漁業や、牡蠣の殻むきなど東南アジアのひとたちが結構、働いています。うなぎ業界ももっと間口を広く、世界から、職人の育成を考える時ではないでしょうか(せっかく、和食が世界無形文化遺産に登録されたのですから)」

ウナギ資源、職人問題、マーケット縮小など、ウナギ業界は一昔前に比べると大きく様変わりしています。これからのうなぎ専門店、どうあるべきだろうか?

「もっともっとうなぎの美味しさを追求していくのは当然なのですが、専門店の全国的なつながりがあるとうなぎを素材にいろいろなお料理の可能性も見えてくるのかな?(浜松では2Pを洋食や中華に使用できないかと模索しています)」

[データ]
浜名湖自鰻「天保」
〒431-1204 浜松市西区白洲町3353-1
TEL:053-487-1896

1山下昌明社長 ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」81 〜2016年9月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


藤野新市社長
(うなぎ・季節料理 藤乃/東京都小平市)

『売る側が常に“進歩”と“勉強”を怠ってはいけない』

9月も半ばに差し掛かり、貴店の売れ行きはどうだろうか。

「6月下旬から売行きが上向き、8月いっぱいまで良く、扱い数量で昨対10%増でした。ネットを見た方、近所にあったうなぎ屋さんが廃業した事も追い風になったようです」

オフシーズンの中、販促等の取組みは?

「今年7月から、うな丼、あるいはうな丼定食を召し上がっていただいた方に『200円割引チケット』を差し上げています。期限は11月までで、それまでは何回でも、何人でも使用出来ます。夏の繁忙期、なくなくお断りしたお客様にもこのチケットをお詫びとしてお配りしましたのですでに効果も出ていますし、オフシーズンの集客も期待しています。このチケットの期限が切れる頃は新装開店から3周年を迎えるので、別のアイデアを考えています」

扱う産地へのこだわりは?

「扱う原料は国産ですが、品質が良く、安定していれば台湾産、中国産でも良いです。ただ、過去に輸入活鰻のなかでやけに水っぽく、臭いが凄かった事があり、その印象が強すぎてあまり手が出せない事もあります。またお客様の国産志向が根強く、輸入活鰻を扱うにも“やりにくさ”があります。以前も『“国産”ということでいただきましたが2,500円って安くありません?輸入物でだましていません?』そんなお客様の電話もあったほどですから。ちなみに味のあるヒネが好みです。皮の硬さ等はしっかり焼いて蒸すなど調理技術で対応しています」

ウナギ資源問題についてはどんな意見を持っているか。

「単刀直入に言うと“人間が欲をかきすぎるから”いけないんじゃないかなと思います。30〜40年前、サンマが獲れ過ぎて沈没する漁船があったように何事もやり過ぎは良くないですし、是正することが大切です」

気になる職人不足問題については?

「中華の料理長になった知人は、そのきっかけに小さい頃に食べた中華料理が美味しかった、事を挙げていました。ウナギも、子供の頃に召し上がっていただく機会を増やし、私たちのようにウナギを提供する側も常に切磋琢磨して美味しいウナギ料理を提供し続ける事が大事ですね」

最後にうなぎ専門店としてどうあるべきか?

「今では価格も高く、たくさんの人が気軽に食べられる食材ではなくなったからこそ、10人くれば10人に“美味しい”と思っていただくようにさらに努力しなければなりません。それには、私ども売る側が常に“進歩”と“勉強”を怠ってはいけないことだと思います」

[データ]
うなぎ・季節料理「藤乃」
〒187-0032 東京都小平市小川町1-1059-6
TEL:042-345-2227

代表取締役社長 藤野新市ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」80 〜2016年9月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


松澤彰子さん
(蒲焼・日本料理 川松/東京都台東区)

『お客獲得のため、面白いキャンペーンを検討中』

全国的にうだるような暑さとなった今年の夏の土用丑の日。しかし、“西高東低”と言われるように関東は梅雨明けが丑の日2日前と遅く、全般的に天候に恵まれなかった。

「土用丑の日はお店を浅草に構えている関係上、土曜日と隅田川花火大会が重なり、例年以上に多くの客入りとなりました。ただ、7月全体では“夏らしさ”、 “丑商戦らしさ”がなく、感覚的にも昨年より売れた感じはなかったですね」

一方、一昔前に比べると高値と言える価格水準だが・・・。

「仕入れ値が急騰した時に一度だけ、メニュー価格を値上げしました。当時は、客数も二〜三割減少しましたが、近年はリピーターのお客様など一品サービスしたりして、回復傾向にあります。また近年は、中国人、台湾人を中心とした外国人客数が増え、お店全体が海外の方たちで埋め尽くされることもありますよ。

ちなみにインバウンド対策に関しては、料理写真を掲載したメニューに英語、あるいは中国語を併記する程度で特別なことはしていません。海外の方が来られたときは、店の名前入りの小さな提灯を旅の思い出として差し上げています。また以前、新しく始めた『中入れ丼』を期間限定で導入し、1,000食目を召し上がったお客様にサービスするなどのキャンペーンでお客様獲得に動いていました。このようなキャンペーンを新たに実施しようか検討中です」

ところで貴店で仕入れるウナギの産地原料に対するこだわりはどうだろうか。

「私どものお店は創業明治6年で代々、国産のみ使用しています。扱いサイズは5尾、5.5尾で、特に柔らかい新仔中心です。以前、台湾産、中国産など試食も行いましたが、一昔前の“産地偽装”が世間を騒がせたこともあり、今も国産のみの扱いに絞っています」

一方、近年取りざたされるウナギの資源問題についてはどうだろうか。

「ウナギ資源問題に関して細かい部分はわかりません。ただ申し訳ないですが、スーパーさんには少しでも扱い量を抑えて欲しいとの思いはありますね」

またウナギ職人不足問題についてはどのような思いがあるだろうか。

「うなぎ職人がひとりいますが、調理場の子達もうなぎの技術を学び、頑張ってくれています。うなぎ職人問題は本当に深刻です。日本の食文化の中でもとくに鰻調理の技術は伝統的なものですので、ぜひ若い人たちにも受け継いでもらいたいです。また、あこがれを抱くヒーローのような、うなぎ職人さんが若手のうなぎ職人さんを増やす足がかりという意味でいらっしゃればいいのですが・・・」

近年のうなぎ加工品の台頭など、うなぎ蒲焼店業界を取り巻く環境は大きく変わっているなか、どのような思いがあるか。

「近年は、多くの外食チェーン店でもうなぎメニューを見かけますが、お客様に一通り召し上がった上で、最終的に私どもの“専門店”に戻ってきていただければいいかな、と思います。その分、私どもでは良い原料で、腕の良い職人さんによる美味しいうな重をこれからも提供していきます。また、ひいおじいさんやひいおばあさんの名前をコースメニューにつけさせていただいていますが、これは連綿と受け継がれてきたお店の歴史、そしてうなぎ文化をしっかりと継承していきたい思いの表れなんです」

[データ]
「蒲焼・日本料理 川松」
〒111-0032 東京都台東区浅草1-4-1
TEL:03-3841-1234

松澤彰子さんブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」79 〜2016年8月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木紀之氏
(魚政/東京都江戸川区)

『お客様の声をよく聞くことで店の改善につなげる』

ウナギ業界のお祭りとなる土用丑の日は全国的にうだるような暑さとなった。

「おかげさまで丑の日は盛り上がりました。当日の売り上げも年々、右肩上がりです。近年は丑の日の営業と外売りも行うようにし、さらに今年は丑を含めた3日間、予約受け付けせず商戦に臨み事がスムーズに運びました。若干の値上げ、単品料理も取り揃え、そして曜日も味方し、様々な要素がすべてうまくはまりました」

依然、高値安定の活鰻相場だが、売り上げを少しでも伸ばしていくための働きかけは?

「お客様に来ていただくことを前提に考えると、私どももウナギをメインにしつつも、ウナギ嫌いのお客様もいらっしゃいますから、お刺身御膳、天ぷら御膳などを用意し、ウナギ嫌いのお客様を逃さないようにしています。またうな重は、別売りが多くなっている肝吸い、お新香もセットにさせていただいています。そのほか、店前はお客様が入りやすいよう、掃除など手入れを怠らないようにするなど、お客様の立場で考え細かな気遣いなど怠らないようにしています。すべてのことはお客様が “答え”を持っていると考えており、常にお客様の声を大切に聞いています」

ところで扱うウナギ原料についての考え、また養鰻業者に対する要望はあるだろうか。

「個人的に、お客さんは“柔らかい”ウナギが好みだと思っていましたが、お客さんの反応などを見ると、ヒネなど身、味がしっかりしたものが評価は高かったですね。ですから、柔らかすぎない程度で味のあるウナギがいいですね。あと、正月明けなど年に何回か、品質のバラツキが目立つ時期があるので改善してほしいです。また一意見として私どもでは最高の品質を求め、季節ごとに産地を変えているように、“食べて美味しく、安全”であれば良いのと思います。お客様にもあまり、産地ばかりに流されずに本質を見ていただきたいですね」

一方、ウナギの資源問題についてはどうだろうか。

「気になるのが市場で見かける、天然のめそ。網を大きくするなど小さいものは極力取らないようにしてほしいと思います。国の規制の強化とともに、メディアが大々的に取り上げ監視の目を強めることなどが必要ではないでしょうか。また今後のワシントン条約のことも考えれば、天然ウナギが扱えなくなっても致し方ないと思います」

また、ウナギ職人不足問題についてはどうだろうか。

「若い子を育てるには魅力ある業界を作ること、そして給料面などお店の受け入れ体制をしっかり整えていくこと。昔、父に言われたことは“しっかりウナギをさばくことが出来れば将来、食いっぱぐれないぞ”と。蒲焼学校などで若い人が増えてほしいですね」

様変わりするウナギ業界、生き残るために何が必要か。

「原点に戻って当然のことを当然に行っていくことがより大事になるのではないでしょうか。人はひとりでは何も出来ないですし、人との関わりをしっかりと深め、かつ柔軟性を持っていくことが今後、重要になってくると思います」

[データ]
「魚政」
〒132-0035 東京都江戸川区平井3-26-11
電話:03-3636-1787

四代目 鈴木紀之氏 ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」77 〜2016年7月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


篠崎賢治代表取締役
(志乃ざき/東京都八王子市)

『今後はより一層、量より質を高めることが重要に』

7月も早いもので中盤に差し掛かった。土用丑の日まで残すところ2週間余りとなるなか、テレビ、雑誌などメディアでもウナギを取りあげるシーンがさすがに増えており、丑ムードも高まってきている。そうした中、貴店での売れ行きはどうだろうか。

「客数自体は減少しておりますが、客単価は去年よりやや高くなっております」

対して、昨年同時期の水準を上回り、高値に張り付いたままの活鰻原料価格。近年、シラスウナギ不漁を背景に多くの蒲焼き専門店がメニュー価格の値上げを余儀なくされている。しかも近年の“高値安定”により、最近でも値上げする動きが蒲焼き専門店間で見受けられる。また、そうした状況下、ウナギ離れに対してお店としての対応、あるいは努力されていることは何だろうか。

「今年も値上げをさせていただいた一方で、出前するエリアをかなり広げました。新しいマンションにチラシを入れたり、Facebookでは広告を出させていただきました」

ところで、日々扱っているメイン商材であるウナギ。国産はじめ、台湾、中国産が国内で流通する昨今、貴店で考える“良質な”ウナギとはどのようなものを言うのだろうか。

「色つやがよく、身がふっくらとしたウナギが良いですね。なかでも、国産ウナギはお客様のニーズがありますので、選んでこだわっております」

ニホンウナギのワシントン条約付属書掲載は回避されたわけだが、周知のようにニホンウナギの資源状態は基本的に改善している訳ではない。3年後にもワシントン条約締約国会議が行なわれる予定だけに引き続いて予断を許さない状況にある。貴店では、そうした資源問題についての意見、あるいはどのような話を聞いているだろうか。

「漁を行なっている方と以前、お話をさせていただきましたが、保護する目的から自粛をしているようです。しかしながら、中国や韓国ではどんどん漁をしているとの話でした。果たしてこれでよいのでしょうか?」

一方、先行き不透明なウナギ資源問題と同じように、改善策が依然として見えないのがウナギ職人不足問題。貴店はどのような考えを持っているか。

「『ウナギ職人』さんというキーワードをもっと、SNSやFBで使用するのも良いかと思います。若い方がそうしたツールを通じて、少しでも興味を抱いてくれるかもしれません。あとは、アジアの若者を育成していくこともありかと思います」

ウナギ資源問題、高値に張り付く仕入れ価格の問題、職人不足問題など、業界が抱える問題が多いなかで、今後を乗り切っていくには、まっさきにどのようなことをしていくべきだろうか。

「多少、ウナギの値段が高くてもゆっくり落ち着いて食べられるのであるのなら、それに満足してくださるお客様は必ずいらっしゃると思います。今後はより一層、量よりも質を高めていくことが重要になっていくのではないでしょうか」

[データ]
「志乃ざき」
〒192-0066 東京都八王子市本町2-1
TEL:042-624-3131

代表取締役 篠崎賢治ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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「蒲焼店が考える“これから”」76 〜2016年7月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


安永清美代表取締役社長
(うなぎ処 柳川屋/福岡県粕屋町)

『素材を大切に、心を込めた接客を行う専門店』

7月に突入し、いよいようなぎのシーズンが到来した。毎年恒例のように、大手コンビニ各社では土用丑向けうなぎ弁当の予約受付を始めた他、大手ファミレスでは相次いでうなぎメニューを導入、またふるさと納税の返礼品のひとつとしてうなぎ蒲焼も人気だ。猛暑期待の土用丑まで残り1ヶ月を切る中、貴店の売れ行きはどうだろうか。

「前年実績より、微増の傾向にて推移しています。人間の食のパターンは簡単に変化しない事を改めて感じています」

一方、一昔前の頃に比べて高嶺の花と言っても過言ではないうなぎ。シラス不漁を背景に一時期、多くの蒲焼き専門店がメニュー価格を値上げしたが、最近でも値上げする動きも散見されている。ウナギ離れは避けられない状況下にあるが、お店としてそうならないように気にかけている事、あるいは努力されていることは何だろうか。

「今まで以上に高級魚となった鰻。すべての面においてベストの状態で提供することに更に意識を高めることに徹底し、味の評価を追求しています。また、インバウンドに対しては自然体で望みます」

ところで、毎日扱う大切な商材であるうなぎ。なかでも“良質な”うなぎとは貴店にとってどのようなものを指すのだろうか。

「弊店では年間30トン程度の鰻を仕入れています。サイズは3.5尾〜4.0尾が中心です。良い鰻というのは、肉厚感があり、食味としては口に入れて美味しさが持続する、そして深い旨味を感じる、そんな鰻を良い鰻だと思います。ちなみに弊店では長年、国産鰻をお客様にご案内していますし、これからもそうありたいと思っています」

周知のように、業界がこれまで注目していたニホンウナギのワシントン条約付属書掲載はなんとか回避された。しかしながら、ニホンウナギの資源状態は決して改善している訳ではなく、続いて業界挙げたウナギ資源保護・管理が大切だ。貴店では、資源問題については、どのような意見を持っているのだろうか。

「ニホンウナギ完全養殖も必要であると思いますが、それ以上にウナギ資源保護管理に対しての地道な活動を今後後押し出来るよう、運動をしていきたいと思います」

一方、ウナギ資源問題と同様、改善策が未だ見えないウナギ職人不足問題について、貴店はどのような考えを持っているか。

「弊店では幸い、現状では職人不足とはなっていません。若い社員には、鰻料理の新メニューについて常に意識を高めるような取組を行なっています。定番料理以外の、未知の鰻料理・・・、考えるとワクワクします」

ウナギ業界が抱える問題が多く昨今、今後をどう乗り切っていくべきか。

「日本の食文化の中でも、とくに伝統的な料理であるうなぎ料理。他の料理のように低価格化や機械化による大量販売ではなく、素材を大切にしながら、心を込めた接客を行ない、“このお店に来て良かった”とおっしゃっていただけるような専門店を目指すべきではないでしょうか?」

[データ]
「うなぎ処 柳川屋」
〒811-2302 福岡県糟屋郡粕屋町大隈38-4
TEL:092-938-7800

代表取締役社長 安永清美 のコピー.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」75 〜2016年6月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


湧井恭行代表取締役
(大江戸/東京都中央区)

「“量を売るのではなく、質の向上目指す”」

猛暑が期待される土用丑まで残り1ヶ月余り。貴店の売れ行きはどうだろうか。

「おかげさまで昨年同時期よりも売れ、全体としてややプラスになっています。今シーズンはメディアによるマイナス的要素のニュースがなく、順調です。業界としてメディアによる風評は大変重要です」

一方、お店として努力されていることは何か。

「お料理だけではなく、お客様を迎え入れる姿勢として店舗の雰囲気、従業員のお客様への対応、サービスのあり方、細かい気配りは大変重要であり、さらなる向上をしなければと思っています。また毎日、お出しするうなぎは仕入れから管理まで、職人さんだけにまかせず、主人自ら目を通すことが重要です。先代、先々代の時代には今と違って、天然の時代でしたから、なおさら仕入れは重要でした。朝早く、問屋に出向き、少しでも遅れると、良いうなぎは残っていない、という事もあったそうです。良い品物を仕入れるということが主人の重要な仕事です」

ところで “良質な”うなぎとはどのようなものか。

「触ってみるとふっくらと肌もきめ細かく、手にやさしさを感じます。一方、悪いウナギは皮が硬く、身も硬くやせているもの。また新仔は味が薄いけど柔らかく食べやすいと思います。裂きたて、焼きたてならさらに最高です。ヒネもしっかり育てられたものなら、味わい深くて良いと思いますが、大ヒネになると厳しいですね」

業界注目のニホンウナギのワシントン条約付属書掲載はなんとか回避されたがウナギ資源保護に対して貴店はどのような意見を持っているか。

「3年後に再び行われるワシントン条約締約国会議は非常に厳しいと見られます。我々、専門店も資源保護に真剣に向き合い、何か出来る事はないかと考え、全蒲連で国立研究開発法人水産研究・教育機構に向けた募金を開始いたしました。ウナギ資源問題の切り札は何と言っても完全養殖の大量生産技術の完成で、少しでも貢献できればと思います。将来、仮にワシントン条約に掲載されれば、“相場高騰”“供給タイト”など取り巻く状況もかなり厳しくなります。そうなってしまったときに慌てない準備をしておく必要があります」

また、ウナギ職人不足問題について貴店はどのような考えを持っているのか。

「職人さんなど人材の問題は、産業全般で同じような状況にあるのではないでしょうか。少子高齢化が顕著な中、個店個店がそれぞれ、積極的にかつ地道に発掘、育成していくしかないでしょう。しかし、業界として職人後継人材を育てるべく、取り組む必要があると考え、対応していきたいと考えます。同時に将来のためにも、魅力ある商売をしていくこと、そして職場環境の向上も大事でしょう」

ウナギ業界が抱える問題が多く厳しい状況下、今後をどう乗り切っていくべきか。

「先日の全蒲連の情報交換会で出た話ですが、ウナギ資源問題を踏まえ、ウナギ専門店の姿勢として“量を売るのではなく、質の向上を目指していき、引き続いて美味しいうなぎ作りに邁進することが一層、大事になってくると思います」

[データ]
「大江戸」
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町4-7-10
TEL:03-3241-3838

大江戸、湧井社長ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」74 〜2016年6月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


服部奨平氏
(うな豊/名古屋市瑞穂区)

『SNSツール活用で同業者、お客様にもオープンに』

うなぎ業界のお祭りとも言える夏の土用丑の日まで残り1ヶ月半となった。今夏は“猛暑”予想の声も多いだけに十二分に期待したいところだ。ちなみに貴店の売れ行きはどうだろうか。

「おかげさまで去年よりも売り上げは、伸びています」

近年は周知のようにシラスウナギ不漁を背景に原料価格の高騰を招き、多くのお店では仕入れ高からメニュー価格の値上げを余儀なくされている。依然としてシラスウナギ漁も不安定なまま推移しており、先行きも不透明なだけに、メニュー価格をなかなか下げられないのが現状だ。離れたお客を一人でも多く取り戻すための努力、また近年は外国人観光客が多くなっているが、それらの対応はどうだろうか。

「メニュー価格を値上げさせていただいた事に関しては、お客様一組一組に、値上げをしてしまって申し訳ない思いを丁寧にかつ、しっかりお伝えしています。また、多くの外国人の方に対しては、英語表記のメニューを用意するなど、少しでも注文しやすいように私どもも努力させていただいています」

ところで、貴店が考える“良い”うなぎとはいったいどのようなものを言うのだろうか。

「やはり、新仔の様に脂の乗った品質の良いものが手に入る事が望ましいです。一方、産地に関しては、そこまでのこだわりはありません」

今年9月に行われる、ワシントン条約締約国会議。ウナギに関しては、EU(ヨーロッパ連合)が“ニホンウナギ流通の実態調査”などを提案しているが、業界が注目していたニホンウナギ付属書掲載はなんとか回避された。業界関係者もほっと胸をなで下ろしているところだが、3年後に再び行われるワシントン条約締約国会議までに、ニホンウナギ資源保護管理をより徹底させていかねばならない。そのなかで、ウナギ資源保護に対して貴店はどのような意見を持っているか。

「ニホンウナギの完全養殖が近い将来、商業ベースに乗る事を切に願うと共に、一方では漁にももっと厳しい取締りが必要ではないかと思います」

一方、ウナギ資源の問題とともに深刻なのが、ウナギ職人不足問題。貴店はどのような考えを持っているのか。

「私自身、まだまだ見習いの身であるだけに何とも言えませんが、埼玉県で毎年5月に行われるさいたま市浦和うなぎまつりやネットのブログ、FBの様に、多くのお客様と僕ら職人とが触れ合える場所が多くあると良いと思います。そうした“職人さんになりたい”と思わせるような、きっかけの場を作り出す事も大切だと思います」

ウナギ業界が抱える問題が多く厳しい状況下、今後をどう乗り切っていきたいか。

「自分としては技術は昔と変わる事なく、美味しいものを提供していくのは当たり前ですし、他にもSNSなどのツールを活用して、もっと同業者の方にも、そしてお客様にもオープンにしていく事も必要になると思います」

[データ]
「うな豊」
〒467-0012 名古屋市瑞穂区豊岡通3-40
TEL:052-851-2632

服部奨平氏 ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」73 〜2016年6月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


樽野博明代表取締役
(江戸流鰻料理 志津可/大阪市北区)

『職人には“早く一人前になって店を持つ”といった意欲を』

夏の土用丑の日まで残すところ1ヶ月半となった。ウナギの仕入れ価格は一時の超高値とはいかないまでも、依然として高値であることに変わりはない。ただ、夏本番を控え、気温も上昇しているだけに期待感も高まっている。貴店の売れ行きはどうだろうか。

「売れ行きに関しては昨年同時期と同じペースで、推移しています」

近年は、シラス不漁に伴う原料価格の高騰から、多くのお店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされた。依然としてシラス漁も不安定であり、なかなかメニュー価格を下げられず、客離れも不可避だったと思われる。そうした離れたお客を一人でも多く取り戻すために貴店で努力されていることはあるだろうか。

「ウナギ価格が高騰したとき、最小限の値上げにとどめたことを、お客様にもご理解していただいています。おかげさまで良心的なお店としてとらえていただき、客数は増えております。また商品も高くなってきていますので、店内における接客にはこれまで以上に注意を払い、相席などはやめ、ゆっくり味わっていただくように心掛けています」

ところで、貴店が考える“良い”うなぎとはいったいどのようなものを言うのだろうか。

「共水のうなぎを食べてびっくりいたしました。これまでも九州の宮崎、あるいは鹿児島大隅より直接、活鰻を入荷していますので当然、美味しくて身もしっかりしていました。しかし、やはり共水うなぎの身自体は美味しく、その違いがわかりました。これからはウナギが少なくなる分、養殖業者の方にはより美味しいうなぎを多く作っていただくことも大切かなと思います」

今年9月に行われるワシントン条約締約国会議。EU(ヨーロッパ連合)が“ニホンウナギ流通の実態調査”などを提案したものの、業界が注目していたニホンウナギ付属書掲載はなんとか回避された。業界関係者もまずはほっと胸をなで下ろしているなかで、ウナギ資源保護に対して貴店はどのような意見を持っているか。

「水産研究教育機構の田中秀樹先生に以前一度、質問したら、完全養殖で稚魚が出来たとしても、1トン出来ればいいほうだ、とおっしゃっていました。自然に頼るので少なくなることはあっても、まったく姿を消すことはないと思っています。温暖化で稚魚が取れる場所も変化があるのではないでしょうか」

一方で、深刻なウナギ職人不足問題について、貴店はどのような考えを持っているのか。

「ウナギ職人の件ですが、私どもの店では串打ち、裂き、焼きなどを教えていますが当事者たちの意欲がありません。“早く一人前になって店を持つ”といった意欲を持ってほしいですが(我々のときはそうでした)、実際はただの従業員である“との認識しかないような感じです」

ニホンウナギの資源問題、活鰻仕入れ価格、そして職人不足問題。ウナギ業界が昨今、抱える問題は多い。厳しい状況下、今後をどう乗り切っていきたいか。

「ウナギはこれからも高級化していくのでお店の構え、接客サービス、雰囲気など、お客様のためにより変化、改善させて行く必要性をとくに強く感じています」

[データ]
「江戸流鰻料理 志津可」
〒530-0047 大阪市北区西天満1-13-7
TEL:06-6364-9129

樽野博明社長(69) ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」72 〜2016年5月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木徹雄代表取締役
(蒲焼 鳥かど家/東京都港区)

『割引チケットの活用、新商品開発で来客増やす』

5月も下旬に差し掛かり、夏の土用丑の日まで残すところ、2ヶ月余りとなった。貴店の売れ行きはどうだろうか。

「値上げは以前、200円ほどですが一回だけ実施させていただきました。このため、常連さんがいらっしゃる回数も必然、少なくなり2年前ぐらいには売り上げもどん底でした。ただ、昨年の夏から、客離れもようやく解消してきた感じです。売り上げに関しても、昨年同時期に比べて15〜20%くらい、増加傾向になっています」

近年は、メニュー価格の値上げを余儀なくされるなど、客離れも少なからずあったとみられるが、離れたお客を一人でも多く取り戻すために実施していること、またインバウンド(訪日外国人旅行者)消費への対策しているのだろうか。

「近年はシラスウナギが不漁でウナギの仕入れ価格も高騰するいっぽうでした。当然、お客様の足も遠のいていきました。“このままじゃ、いけない”ということで一人でも多くのお客様に来ていただけるよう、リクルートの『ポンパレ』、いわゆる割引チケットを活用し、ウナギのぶつ切りを生姜醤油で圧力鍋にかけた新商品『鰻の汽車ポッポ』などでよりお客様を引き付けるようにしています。また、グルメサイトのひとつ『ヒトサラ』の弊店の紹介ページでは英語、中国語、台湾語、韓国語にも対応しています」

ところで、貴店が考える“良い”うなぎとはいったいどのようなものを言うのだろうか?

「蒸して、焼き始めても、ある程度、身のしまっている鰻は安心して調理出来ます。うちでは代々、国産オンリーです。一時、中国産、台湾産を扱った時もありますが、中国は脂分の多さが気になりました。一方、台湾産はあまり違和感なく、扱えました。近いうちにランチサービス向けに値ごろ感ある台湾産活鰻を扱おうか、考えています」

今年9月に行われるワシントン条約締約国会議。これまで注目されたニホンウナギの付属書掲載は回避され、業界関係者もまずはほっと胸をなで下ろしているところではないだろうか。そのなかでウナギ資源保護に対して、貴店はどのような意見を持っているか。

「これまでウナギ資源に対して野放しだったといっても過言ではないと思います。やはり、現在実施されている一定の規制は必要かと思います。ただ、規制をより厳しくすることで供給が不安定になり、荷物が入ってこなくなることは防いでほしいですね。ちなみに募金活動に関しては、弊店が仕入れている焼酎メーカーが一本の売り上げの一部を義援金に充てているように、ウナギ業界でもうな重などに研究費向けとしていくらかを上乗せして徴収するのもいいかもしれませんね」 

一方で、深刻なウナギ職人不足問題。貴店はどのような考えを持っているのか。

「当店は家族経営のお店で、職人さんを雇用していないのでなんとも言いようがありません。ただ全般的にうなぎやの職人というのは、フレンチ、イタリアンのシェフ、あるいはスイーツのパティシエに比べ地味な部分が目立つなど、イメージ的な問題があるのかなと思います。今年12月にニューヨークから息子が戻ってきたら、ある程度、調理を任せてみようかなと考えています」

ニホンウナギの資源問題、活鰻仕入れ価格、そして職人不足問題。ウナギ業界が昨今、抱える問題は多い。厳しい状況下、今後をどう乗り切っていきたいか。

「昔、この新橋界隈、虎ノ門にはざっと20軒以上のうなぎやがありました。今でこそ、本当に数える程度しか残っていないのが寂しいところです。自身で三代目、弊店も今年で創業104年を迎えるなか、今後も実直に仕事をこなしていき、お店とうなぎ文化の歴史の灯を絶やさぬように尽力していきたいですね」

[データ]
「蒲焼 鳥かど家」
〒105-0004 東京都港区新橋4-27-9 新橋スズキビル1階
TEL:03-3431-0534

代表取締役 鈴木徹雄氏ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」71 〜2016年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


塩野茂樹店長
(大江戸 南青山店/東京都港区)

『追求心のある職人さんが少ないように思う』

夏の土用丑の日に向けて、残り3ヶ月を切った。売れ行きはどのような感じで推移しているのだろうか。

「前年比で昨対を下回る月もありますが、おかげさまで通年では毎年、昨対をオーバーしています。また現在のところ、景気も戻って来ているのか、前年比で5〜10%ほど伸びています」

近年、メニュー価格の値上げを余儀なくされたところが多いなか、現状の客足はどうだろうか。

「当店でも以前、メニュー価格の値上げをさせていただいきました。ただ、南青山という場所柄と、とくに常連様が多かったためか、値上げの影響はさほど出ませんでした。また当時は、メディア各社が“ウナギが高い”といった内容をひっきりなしに報道した事もあり、逆にお客様もある程度、納得されていたのかもしれません。ただ、当時も今も、高いお金をいただいているわけですし、私どもも納得したうなぎ料理をお客様にご提供し(予約された方の場合には、来店のタイミングに合わせ熱々のごはん、肝吸いを提供)、客足が遠のかないよう、肝に命じています」

ところで“良い”うなぎとはどのようなものなのか。

「臭みがないのは無論ですが、30数年、職人をしてきたなかで思うのは、うなぎを触ったときに“しっとりしていてハリがある”もの、そして身がとくにきめ細かいものが良いですね。逆に茶系の色をしたウナギは肉質が硬めなので蒸しが遠い(長い)ですね。良質なうなぎであれば、割きやすく、串が打ちやすい、そして綺麗な白を入れることが出来、タレ乗りも良くなります。要するに良いうなぎは、仕事がしやすく、うな重になったときの仕上がりも断然変わってきます。このようなうなぎがもっともっと増えてほしいです」、続けて「いいものは高く、それなりものはそれなりの価格で、ランク付け出来ればと思います。生産者の方もやりがいが出るのではないかと思います」

今年9月、ワシントン条約締約国会議がいよいよ開催されるが、今回はニホンウナギの提案は回避された。一方、解決策が見出せない職人不足問題についてどのような意見をお持ちだろうか。

「私たち、職人だけでなく、調理補助等、一年間募集をかけていますが、来ません。飲食業自体、求人が厳しいのかなと思います。職人高齢化が進む中、年通無休のお店などは“人材”の問題から休業、あるいは廃業せざるを得ない場面も出てくるのではないでしょうか。やはり、拘束時間が長くて休みが少ないと、若い子はなかなか入ってきません。拘束時間が長い割に手間賃が安いと感じる部分も他業種に比べて、あるのかもしれません。週休完全二日制など受け入れ体制を変えるにも、もともと人出が少なく現実的でないですし、調理の練習をするにも今では活鰻が高く、環境も昔に比べて良くないです」

最後に職人として、蒲焼専門店として今後、どうあるべきか。

「うなぎ料理は和食と異なり、至ってシンプル。だからこそ、調理技術をもっともっと突き詰めても良いのではないでしょうか。追求心のある職人さんが少ないように思います。また(調理をしていて)頭で思った事、それを確認する上で、同時に“食味”をしっかりすることで確認するも大切。とにかく、常にこだわりをもって、“いいものを出す”という気持ちが大切ではないでしょうか。それがお店の存続、ひいては鰻文化の継承に繋がっていきますからね」

[データ]
「大江戸 南青山店」
〒107-0062 東京都港区南青山2-14-22
TEL:03-3402-0641

塩野茂樹店長ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」70 〜2016年4月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


富田蓮右衛門代表取締役会長
(伊勢定/東京都中央区)

『伝統の手法一切変えず、店のしきたり、個性を守り通す事』

花見シーズンもほぼ終えて、業界の書き入れ時である夏商戦に向けて、残すところ3ヶ月余りとなった。活鰻相場は一時の超高値まではいかないものの、依然として高値安定で推移している。貴店では新鰻年度(15年9月〜)以降、売れ行きはどのような感じだろうか。

「国産活鰻相場がピーク時に比べてやや値を下げましたので、経営的にはホッとしています。しかしながら、お店でのメニュー価格の値下げには至っていないのが現状です。お客様に、昨今の高値を理解していただけたのでしょうか、お客様の数はさほど変わっていないように思われます」

近年は、シラスウナギ漁がパッとしない年が多く、今年も東アジア3カ国・1地域(日本、中国、韓国、台湾)における池入れ量は昨年を下回りそうな公算となっている。従って活鰻相場も引き続いて高止まりしている状況にある。そうしたなか、全国の蒲焼き専門店間でもメニュー価格の値上げによって、一時的にもウナギ離れが起きたのは記憶に新しい。しかしながら、現状の客足はどうだろうか。また、離れたお客様のために取り組んでいる事はあるだろうか。

「私どもでとくに力を入れているのは、店舗の雰囲気づくりです。例えば、お運びの女性の和装着物の新調や、お重、食器のリニューアルなど、サービスと清潔感、そして少々の高級感を醸し出していきたいですね」

ところで、活鰻には国産、台湾産、中国産(※すべて同じアンギラ・ジャポニカ種[ニホンウナギ])とあるが、貴店で考える“良い”うなぎ、あるいは問屋にどのようなウナギをお願いしているのだろうか。

「私ども伊勢定では全店、国産の鰻に頼っております。お客様に対する安心感が全てでしょうか。皮が薄く、臭みの無いものをお願いしております」

今年9月、ワシントン条約締約国会議がいよいよ開催される。またその前段として、今月27日までに、ニホンウナギが規制すべき対象種として掲載されるのか、されないのかの提案が締め切られる日となっているだけに、業界の注目が集まっている。近年は、続くシラスウナギ不漁によって大きく取り沙汰されるウナギ資源保護・管理問題に対して、貴店ではどのような意見を持っているのだろうか。

「私たち、末端の鰻屋に打つ手や早めの対策など、世界の流通規制に対抗出来る訳もなく、いただいた鰻を大切に扱うのみです。ただ、我々の小さな力を集めてお願いするとなれば、天然のウナギを扱わない、河川の修復、完全養殖など一連の件に関して、国や水産庁、組合として強力に圧力を向けられればと思います」

ウナギ資源保護・管理問題が叫ばれる一方、依然として解決策が見出せないウナギ職人不足問題。今では職人は無論、ホール・洗い場の人でさえ、集まりづらくなっているという。貴店では、ウナギ職人の確保等、どのような対策、働きかけを行っているのだろうか。

「何かと人手を伝えて、いろいろな角度から、若い人たちに声をかけておりますが、思うようにはいかないのが実情です。これからも、これを焦らず、継続していこうと考えています」

近年はウナギ資源問題、また続く活鰻相場の高騰など業界を取り巻く環境は一昔前に比べて様変わりしている。そうしたなか、ウナギ文化を古くから伝承してきた、蒲焼専門店”として今後、どうあるべきなのだろうか。

「江戸時代より続く鰻の蒲焼の食文化、これを私たち、うなぎ専門店はどのような時代も移り変わりがあろうとも、昔からの伝統の手法は一切変えません。各お店のしきたり、個性を守り通す事ではないでしょうか」

[データ]
「伊勢定」
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-5-17
TEL:03-3516-2386

富田会長ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」69 〜2016年4月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


中村雅人代表取締役
(八幡屋/千葉県市原市)

『今後もより地域に密着した、居心地の良い店作りをしっかりと』

夏商戦に向けて3ヶ月余りを残す中、貴店では新鰻年度(15年9月〜)以降、売れ行きはどうだろうか。

「お陰様で何とか昨対オーバーしています。一時、道交法改正に拠る飲酒運転・飲酒事故の厳罰化からかなり厳しい時代もありました。近年は、周知のように活鰻原料の値上げ等から、取り巻く環境も再び厳しくなりましたが、ハーフメニューの導入など、メニュー開発等で頑張っています」

近年、ウナギ資源保護の動きが加速、シラス不漁も相まって活鰻価格も高止まりしている。お店によってはメニュー価格の値上げからウナギ離れが起きるなど、厳しい状況が依然として続いている。一人でも多くのお客を取り戻すための対策、取り組みはどうだろうか?

「私どもでは2大ブランド鰻をベースに展開しているなかで、値上げでただ“苦しい、苦しい”というのではなく、先ほども話しましたように新たにお求めやすいハーフメニューなど、うな重を中心とした新メニューの開発・導入を積極的に行い、ランチうな重では一般養殖ものを扱い、4.5P原料で2,700円で提供したり、特上の2段重でお客様を惹き付けたりしています。一方では店の外観も変え、敷地内にある池にはチョウザメ、別の池にはウナギ自体を放し、子供たちにも興味を持って頂けるようにしています。私どもでは、お客様にいかに満足していただくか、ということを常に考えた店作りを進めています」

ところで、貴店ではブランド鰻をベースとした扱いだが、改めて“良い”うなぎとはどのようなものが理想だろうか。

「やはり、ただ脂が乗っているだけではなく、香り・旨味がしっかりしているものですかね。あとは養鰻業者さんの技術面もいい鰻作りには欠かせず、かなりのウエイトを占めると思います。それぞれの技術の“高い、低い”によって、鰻の仕上がりにも影響していきますので」

今年9月、ワシントン条約締約国会議がいよいよ開催される。その前段として、規制対象とすべき種類を提案する期限が来月27日までとなっているだけに、その動向が気になるニホンウナギの資源保護管理問題。貴店においては、ウナギ資源に対して、どのような考えを持っているのだろうか。

「ウナギ資源保護に関して正直詳しい事はわかりませんが、まずは天然ウナギを極力、使わないようにしています。また仮にニホンウナギが規制された場合にまっさきに気になるのが相場高騰です。今以上に値上がってしまうと商売的にはかなり厳しい状況に追い込まれてしまいますからね」

一方、ウナギ資源問題と同様に解決策の見出せないウナギ職人不足問題。貴店では、どのような対策を行っているか。

「職人さんのためにも労働条件の改善にはとくに注意しています。一方、職人斡旋所さんに頼んでも慢性的に不足しており、私どもでは田舎というハンデもある。さらには近くに大きな商業施設があり、若い人もなかなか集まらず頭の痛い話です。現状は和食の人にも、うなぎ調理を行っていただくようにしています」

最後に蒲焼専門店”として今後、どうあるべきか。

「私どもでは“共水うなぎ”“うなぎ坂東太郎”の2大ブランドを扱う一方、今後もより地域に密着した、居心地の良い店作りをしっかり行っていくことに尽きますね」

[データ]
「八幡屋」
〒290-0171 千葉県市原市潤井戸1307-20
TEL:0436-74-0007

4中村雅人社長  のコピー.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」68 〜2016年4月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小山晢世代表
(炭火焼き鰻 清月/名古屋市東区)

『売上が伸びても利益がなかなか出ない』

新年度を迎えるなか、麗らかな春到来とともに花見シーズンも真っ只中と、陽気の高まりととも、今後は多くの人出が期待出来そうだ。貴店では、気になる売れ行きに関して現在、どのような感じなのだろうか。

「私どもの売れ行きは、昨年同期に対比して2〜3割増加しております」

近年は、ウナギ資源問題を背景に周知のように、取り巻く環境は大きく変化している。なかでも、4年連続で減少したシラスウナギの不漁から、業界内では“異種ウナギ”の導入まで検討され、“資源の枯渇か?!”と言われるほどの窮状に陥った。そうした供給の逼迫から、相場は下がるどころか高騰し続けるなど、廃業に追い込まれたウナギ専門店も少なくなかった。その一方では、大半のお店がメニュー価格の値上げを実施したことで、ウナギ離れも起きた。そのなかで一人でも多くのお客を取り戻すための対策、あるいは貴店としての売上アップに対する取り組みなどはどうだろうか?

「当店は、開店して3年目となりますので客離れは経験しておりませんが、相場の高騰により、売上が伸びても利益がなかなか出ないのが現状です。ただ、当店の近くにはナゴヤドーム、徳川園がございますのでイベントなどが行われた際には、県外、国外の方が多く、ご来店される事がありますので11月〜3月の間は、非常に助かっています」

ところで、貴店が考える“良い”うなぎとはいったいどのようなものを言うのだろうか?

「当店では地焼きですので産地にもよりますが、柔らかい鰻が一番扱いやすいですし、お客様にも喜ばれる事が多いです」

業界が注目する、ワシントン条約締約国会議が9月、南アフリカのヨハネスブルグで開催される。その前段として、規制対象とすべき種類を提案する期限は4月27日までとなっている。それまでにニホンウナギ“が加盟国から提案された場合はかなり、本会議ではかなり厳しい状況に追い込まれるとの見方が色濃い貴店は、どのような意見を持っているか。

「ワシントン条約に掲載され、最悪の場合は、試算として流通量が現在の約一八%となる話も聞いているなかで、当店は廃業を避けられないと思います」

一方、ウナギ資源問題と同様に、重要なのがウナギ職人不足。貴店はどのような考えを持っているのか。

「職人不足の問題よりも、やはり資源問題の方が重要だと思います。資源がこのまま減少、規制されれば事業の縮小、倒産、廃業ということもあり得ると思います。職人不足どころか、再就職すら難しくなるのではないでしょうか?」

ニホンウナギの資源問題、活鰻仕入れ価格、そして職人不足の話など、業界が今、抱える問題を取り上げたら枚挙にいとまがない。依然として先行きが見通せないなか、貴店の思い、考えはどうだろうか。

「今後、どうなるかはわかりませんが常にお客様に喜ばれるウナギを提供させていただくことが出来れば幸いです」

[データ]
「炭火焼き鰻 清月」
〒461-0023 愛知県名古屋市東区徳川町2502
マルカネエクセレンス1階
TEL:052-932-6566

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
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「蒲焼店が考える“これから”」67 〜2016年3月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


篠原孝直代表
(鰻割烹まえはら/京都市中京区)

『何が他店と違うのか、自店の特徴を持つことが大事』

新年度が間近に迫るなか、福岡を皮切りに桜が開花、ようやく麗らかな春の到来となった。夏に向けてウナギ消費が期待されるなかで、貴店では新鰻年度以降、売れ行きはどのように変化しているだろうか。

「昨年同期と比較してもとくに大きな変化はありません。何方かと言えば、微減となっております」

近年はウナギ資源保護・管理の動きが加速、それら規制を背景に、パッとしないシラス漁からもなかなか値下がらない活鰻価格。近年、メニュー価格の値上げでウナギ離れが起きるなど厳しい状況が続くが、一人でも多くのお客を取り戻すための対策、取り組み、あるいはこだわっている部分、一方でメディアで取り沙汰されるインバウンド対策などはどうだろうか?

「共水ブランド鰻の特徴をアピールし、鰻本来の美味しさを提供させていただいています。また、江戸焼きの仕上がり、素材を活かすタレが当店の売りとなっています。一方で、外国人対策としては、英語のメニューを活用しています。そしてこだわりとして、鰻の創作料理の会席を前面に押し出し特徴にする工夫をしています」

ところで、貴店が思う“良い”うなぎとはどのようなものか。

「天然鰻に近い環境で、養鰻されたウナギが良いと思っています。従って、当店が出会えた共水ブランド鰻は最高です。今後も使用を許される限り、提供していきたいと思っています。今後も引き続いて、国産鰻『共水ブランド鰻』にこだわっていきたいと思います。理由は前述の通りです」

今年9月、ワシントン条約締約国会議がいよいよ開催される。その前段として、規制対象とすべき種類を提案する期限が来月27日までとなっているが、それまでにニホンウナギ“が加盟国から提案された場合はかなり、本会議ではかなり厳しい状況に追い込まれる。それだけに重要で大切なニホンウナギの資源保護管理問題。貴店においては、ウナギ資源に対してどのような考えを持っているのだろうか。

「ニホンウナギはすでに絶滅危惧種なので仕方がないと受け止めています。ですので、ウナギの完全養殖(大量生産)の早期実現を今から心待ちにしています。なお、資源対策は特に考えておりませんが、私どもでは会席料理を中心に営業しているので、鰻の使用量を変化させることによる対応で乗り切っていきたいと考えています」

一方、ウナギ資源問題と同様に再三、話題に上るのが専門店にとってとくに頭の痛いウナギ職人不足問題だろう。貴店ではこうした窮状に対してどのような対策を行っているのだろうか。

「職人不足は今後も頭の痛い問題です。現在は長男に継承していますが、今後は日本料理の職人に鰻の技術を教え、そのうえで会席料理を継続したいと考えています」

取り巻く環境が大きく変化する昨今、うなぎ蒲焼専門店”として今後、どうあるべきか、またどのように乗り切っていくべきか。

「これは鰻専門店だけの問題ではなく、飲食業界全体の問題と捉えています。生き残りをかけて何が他店と違うのか、自店の特徴を持つことが大事だと思います。また、顧客の絞込も必要になるのではと考えています。年齢・ファミリー向け・接待向き・性別等々で、自店はどのお客様を囲い込めるかを決めて、店作りを行っていくことが大切だと思います」

[データ]
「鰻割烹まえはら」
〒604-0856 京都市中京区両替町二条上る北小路町108-1
TEL:075-254-7503

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