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「蒲焼店が考える“これから”」89 〜2017年1月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


野本 修店主
(駒沢 宮川/東京都世田谷区)

『いかに“美味しさ”で唸らせ、感動させるか』

輝かしい新年を迎えた。業界注目のシラスウナギ漁は昨年12月から好調を維持。今シーズンは久しぶりに期待感も高まっている。

ところで気になる販売はオフシーズン真只中、これまでの動きはどうだろうか。

「私どものお店では、平成25年4月より、すべての活鰻をブランドの共水うなぎにし、メニュー価格維持のためサイズダウンしました。しかし、お客様の反応はいまいちだったこともあり、同27年10月より、価格をアップさせていただきましたが、サイズもすべてのメニューでアップさせていただきました。約1年以上が経過し、振り返ってみますと、仕入れは確かに上がりましたが、共水うなぎの認知度の高さ、サイズアップによるお客様の反応も良く、売上げもおかげさまで伸び、利益率も思うほど圧迫されていません。最近は、常連客と同じぐらいの割合で新規のお客様も増えています。なかでも若年層が目立ち、カップル、グループ、あるいは小さな子供連れの家族、などですね。

また“ここぞ”というときの“ごちそう感”、あるいは“ハレの日にはうなぎ”ということが浸透しているのか、または絶滅危惧種という貴重さが人気を後押ししているのか、わかりませんが、共水様様の部分も相まって、売れ行きも好調です。最近は“共水マニア”なるお客様もいらっしゃったほどです(笑)」

ちなみに販促、あるいはインバウンド対策などは行なっているのだろうか。

「ホームページには “共水うなぎ”の養鰻場見学リポートを載せたり、1匹をさばく大変さを表現するために調理の動画をアップしたり、目を引かせるようにしています。うちでは出前もしていますが “貴重な資源となったニホンウナギを最高の状態でお客様にお出ししていますので、すぐに召し上がっていただきたい、と考えております!!出前では残念ながらその味が落ちてしまいますので、是非お店の方まで足を運んでいただけたら幸いです”と書かせていただいたのが影響しているのか、一昨年ぐらいから出前よりもお店に足を運んでくれる人が増えました。

またインバウンドに関しては中国、台湾の方など、東アジアの方が増えてきていまして、まずは“英語表記”もメニューに追加しようか、考えているところです。ちなみにお店を構えるここ駒沢は高級住宅街で、私自身も修行時代色々なエリアの鰻屋さんを見てきましたが、客層は大分、異なりますね。鰻重も一番高い4,300円(税別)がすぐ売り切れますね」

ところで、良いウナギとはどのようなものか。

「私自身は、決して“柔らかい=美味しい”ではないと思います。柔らかすぎず、硬すぎず、かつ割きやすいヒネが良いと思いますし、それがまさに共水うなぎなんです。あとは養殖場の水の綺麗さも大切ですね」

ところで近年は、ウナギ資源がよくクローズアップされているなかでどのようなご意見があるだろうか。

「我々、鰻専門店として資源に直接関係する手助けはできません。ただ、貴重な資源だからこそ、私どもとしてはしっかり丁寧に仕事をし、無駄をなくすことが大切なんじゃないでしょうか。お客様を唸らせるために最高の仕事を常に心がけることが結果的に資源を思う事にもつながると思うんです」

一方、ウナギ職人不足問題についてはどうか。

「今の時代は、若い頃から洋食中心の生活になっているのも一つの要因ではないでしょうか。若い頃からウナギに接する機会がなければ、必然、職人になろうとする気さえ起きないわけですから。小さい頃にいかに専門店のウナギを召し上がっていただくか、その機会を今後は提供していかねばなりませんし、調理師専門学校でのウナギの授業などを今後も継続する事も大事ですね。あとは、私どもの世代がいかに上手な教え方を実践するかも大切ですし、給料など待遇面をよくすることも不可欠でしょう。昔は“包丁一本でお客様をうならせる”うなぎ職人に対するあこがれが強かった時代があり、懐かしいです」

取り巻く環境が大きく変わる中、うなぎ専門店は今後、どうあるべきだろうか。

「環境が大きく変わろうとも、いかにお客様を“美味しさ”で唸らせ、感動させるか?しっかりとした丁寧な仕事を常に心がけるだけですね。例えば、他の新しいことに力を入れすぎてしまうと、メインの仕事がおざなりになってしまいますし、私の考えとしては以上のように至ってシンプルです」

[データ]
「駒沢 宮川」
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢5-16-9
電話:03-3701-2205

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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