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「蒲焼店が考える“これから”」91 〜2017年2月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


8代目 大谷 晋一郎氏
(重箱/東京都港区)

『日本料理が客寄せで天然ウナギを扱うことの腹立たしさ』

2017年を迎え、早1ヶ月。専門店における、これまでのウナギ消費はどうだろうか。
「前年と大きく変わってないです。ただ利益率は、シラス大不漁となった時に仕入れ値が大幅に上がり、相当圧迫されています。当店、コースメニューのみで価格はいじらずボリュームもそのままです。ただ、代わりに年4回、庭師の方にお願いしている植木の手入れを3回に減らすなど、細かな部分で常に節約し、スリム化に力を入れていました」

販促、また何かと話題に上る外国人観光客への対応は?

「以前は常連のお客様に対して定期的にお手紙を出していましたが今は、不定期にお出ししているぐらいです。また近年は、外国人観光客が多く、当店では全体の10%ぐらいの割合を占めます。普段、接待需要で使われる事が多い当店ですが、観光でいらっしゃる海外からの観光客に対して創業220年という当店の歴史、赤坂がいったいどんな町なのか、お話しするようにしています。とくに220年という長い歴史に関しては海外のお客様も神秘的に思ってくださり、とても興味があるようです」

ところで調理をしていて、良いウナギとはどのようなものか。

「当然、安心、安全で健康なウナギが前提です。その上で白を入れた時にしっかり脂があり甘い香りがし、また蒸した時に肉がふわっと盛り上がる感じが良いです。かつ口に入れた時にやたら脂っぽくなく、パサつかず、きめが細かくとろけるような食感、鼻に抜ける甘い香りがするのもいいですね」

昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「我々、文化を担い継承していく立場として“天然ウナギを扱わない”という傾向が当然、強まっています。ただその一方、一部の日本料理店が夏にお客さんの食いつきがいいからと天然ウナギを扱い、しかも調理が下手、天然素材の良さも引き出されていません。天然ウナギに対して技術の未熟な人がしゃしゃり出てくるのもいかがなものかと思いますし、正直、腹立たしいです。またそうしたお店があるから漁師の方も天然ウナギを採ってきますし、悪循環となっています。国の方もそうした現状に鑑みてもっと規制を強くしてほしい」

資源と同様、深刻な状況にあるウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「今の状況を生んだのは、我々お店の責任もありますし、そして職人さん自体にも問題があります。福利厚生、休日の設定など受け入れ態勢の充実は大前提です。その上で一番、足りないものは“スーパースター”なんです。サッカーなら本田圭佑、野球ならイチロー等、それぞれの世界に必ずスーパースターがいます。日本人が尊敬し、世界からは評価され、そんな人が、今のウナギ業界にはいません。スーパースターがいれば、若い子もその人を目標にどんなに修行がつらかろうが、頑張ると思います。一方で職人さん自体も意固地な方が目立ち、問題視される部分です。今の時代は昔と異なり、“ウナギだけ出来ればいい”という世界じゃないんです。ウナギ調理が出来るのは無論、社会人としてのマナー、挨拶が備わっているか、また他の専門店を訪れ勉強する意欲も大事だと思います」

様々な課題を抱える中、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか。

「うなぎ専門店は古い時代から“文化”というものを提供してきました。ウナギが出てくるまでの“間”を楽しむ事の大切さを、お客様一人一人に優しく伝えていきたいです。そして日本を代表する、世界に誇る文化である、うなぎの魅力を世界の人に向けて伝えるべく、“eel”ではなく、あえて“うなぎ”という言葉を熱くアピールしたいですね。また私自身も、若者の規範となり、憧れを抱かれるスーパースターになれるよう、邁進していきます」

[データ]
「重箱」
〒107-0052 東京都港区赤坂2-17-61
電話:03-3583-1319

8代目:大谷晋一郎氏 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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