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「蒲焼店が考える“これから”」105 〜2017年7月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


佐藤大和店長
(うなぎ串焼き くりから<東長崎店>/東京都豊島区)

「意欲のある、型にとらわれない老舗の勇気は必須」

いよいよ、業界の書き入れ時である7月に突入した。業界の年に一度のお祭りとも言える夏の土用丑の日まで三週間弱。今夏は、気象庁より“猛暑予想”が出されているだけに丑商戦への期待感は強い。ところで昨今の活鰻仕入れ値は一頃のピークは過ぎたものの、それでも一昔前に比べれば高い水準にある。そうしたなかで、貴店の販売状況はどうだろうか。

「昔のことはよくわからないので、現在の状況をお伝えします。仕入値は非常に厳しい食材なのは間違いありませんが、武器でもあり弱点でもあるといったところでしょうか」

一方、近年は取り巻く販売環境が厳しいなか、販促など貴店ではどのような対策をしているだろうか?

「強いて挙げるのであれば、“国産うなぎを使っている”という自作のポップを掲げています」

ちなみに商売をしていく上で重要な活鰻原料。貴店で扱うウナギに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「当店では愛知県三河一色を使用しています。理由はわかりません。お店にとって良いうなぎと言うのは、それぞれの“お店の味”を出せるうなぎのことだと思います」

ところで近年、大きくクローズアップされるウナギ資源問題。各方面では、資源保護・管理の働きかけが進んでいるが、一方では足並みが揃っていない感じも受けて取れる。昨今のウナギ資源問題に対する思い、考えはどうだろうか?

「取り組みに関しては正直、何をしたらいいのかわからないということを一番強く感じています」

また、ウナギ資源問題と同様に、根深い問題を抱えるウナギ職人不足問題。これに対してはどのような考えがあるだろうか。

「単純な話だと思います。新しい店が少な過ぎるのです。昔ながらの店には長く時間をかけてできる、ノウハウやルールがたくさんあります。それらを長い年月をかけ、身に付けてからでないとうなぎの焼きを教えてもらえないでしょう」

ウナギ資源問題をはじめ、相場問題、ウナギ職人不足の問題など、ウナギ専門店業界には多くの難題が立ちはだかっている。そうしたなか、鰻専門店としては今後をどのように乗り切っていくべきか、あるいはどのようなことが必要だろうか。

「うなぎ業界はその特殊さ故に、飲食の世界では完全にガラパゴス状態に陥っていると思います。牛肉を調べると番号を打ち込めば生産者の顔まで確認出来ます。ラーメン店では様々な経歴をもった人達がチャレンジして日々進化し続けています。10年以上も前からです。うなぎは蒲焼きのポスターばかり。食べ方も100年以上もほとんど変わっていない。消費者はうなぎの顔をずっと真正面からみているだけなのです。本当にわかってほしいのならば、もっとやるべきことはあるはずです。意欲のある、型にとらわれない老舗の勇気は必須だと思います」

[データ]
「うなぎ串焼き くりから<東長崎店>」
〒171-0051 東京都豊島区長崎4-9-5 ロイヤルマンション101
電話:03-3530-5020

佐藤大和店長ブログ用.jpg

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「蒲焼店が考える“これから”」104 〜2017年6月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


津田兼太郎取締役
(東京 竹葉亭/大阪市北区)

『河川でウナギが住みやすくなる、石倉設置が進むことを希望』

今年も早いもので半年が過ぎようとしている。また、業界の年に一度のお祭りとも言える夏の土用丑の日まで残り、1ヶ月となった。愛知三河一色では5月半ばに新仔の初揚げが始まっており、同じ単年養殖組の宮崎エリアもようやく新仔が初揚げされ、遅ればせながら丑に向けてのムードは高まってきている。一方では梅雨ながら、時折、夏日となる地域も散見されるなど、陽気的にも丑商戦に向けて期待したいところだ。
ところで昨今は活鰻仕入れ値が一昔前に比べ高値安定で推移してきたが、一頃のピークを過ぎ、現時点の相場も昨年同時期よりも700円/㎏ほど値頃となっている。そうしたなかで、貴店の販売状況はどうだろうか。

「今のところ、リピーターのお客様や外国人観光客を取り込めるように努力をしている為、売上は確保しています。昨年同期と同じくらいの売上を確保することで利益率も何とか保てています」

一方、近年のシラス不漁を背景に一般消費者間では“ウナギ=高い”というイメージが刷り込まれ、取り巻く環境は厳しいなかで、販売促進など貴店ではどのような対策をしているだろうか?

「味やサービスが日々向上するように従業員への教育などに取り組んでおります。また、訪日外国人旅行者を取り込む為に英語のメニューやホームページ作成などの対策は実施しています」

ちなみに商売をしていく上で重要な活鰻原料。貴店で扱うウナギに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「弊店では愛知県や宮崎県などの国産鰻を扱っています。身の厚い、ふっくらした鰻が良い鰻だと思います。逆に長身で身の薄い鰻は好ましくないです」

ところで昨年9月に行われたワシントン条約締約国会議では、ニホンウナギの附属書掲載を免れたものの、EU(ヨーロッパ連合)ではウナギの資源・流通の実態調査を提案、可決されている。このため、引き続いて予断を許さない状況にあるなかで、昨今のウナギ資源問題に対する考えはどうだろうか?

「ウナギ資源保護の観点から、天然ウナギは弊店でも使用しておりません。完全養殖の商業化実現はもちろんのこと、河川でウナギが住みやすくなる様、石倉設置なども進むことを希望しています」

また、ウナギ資源問題と同様に、解決策が依然として見えない、深刻な状態にあるウナギ職人不足問題に対してはどのような考えがあるだろうか。

「ウナギ職人が不足している要因は若者の人口減少が主な原因だと思います。育成、確保については地道に採用活動をしていく他、無いと思います」

近年は、ウナギ資源問題をはじめ、相場の高値安定、またウナギ職人不足の問題など、ウナギ専門店業界を取り巻くものは難題ばかりが目立っている。そうした中で、鰻専門店としては今後、環境が大きく変化した業界をどう乗り越えていくべきだろうか。

「専門店を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、『味とサービスの向上』という原点を忘れず、地道に取り組んでいくことが必要だと思います」

[データ]
「東京 竹葉亭」
〒530-0005 大阪市北区中之島4-3-20-612
電話:06-6443-3111

津田兼太郎ブログ用.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」103 〜2017年6月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


市原祥 営業マネージャー
(満る岡(まるおか)/埼玉県行田市)

『これからは専門店自体が職人育成を担う時代』

今年も早いもので6月半ばに差し掛かり、業界のお祭りとも言える夏の土用丑の日まで残すところ1ヶ月余りとなった。すでに愛知三河一色では新仔の池揚げが始まっており、7月に入れば、宮崎エリア等も含め、各地で新仔池揚げは本格化する見通しだ。一方では夏日となる地域も散見されるなど、丑商戦に向けての期待感も日増しに高まっている。ところで昨今は活鰻仕入れ値が一昔前に比べ高値安定で推移している。ただ、ピークは過ぎており、現時点の相場は昨年同時期よりも幾分、値頃となっている。そうしたなかで、貴店の販売状況はどうだろうか。

「売上に関しては、昨年に比べて微増の状況です。また利益率は3〜4年前より、改善しています」

一方で、厳しい販売状況下のなかで販売促進など、貴店ではどのような対策をしているだろうか?

「商工会議所の担当の方と協力して、今後の販促を検討しているところです」

ちなみに商売をしていく上で要となる活鰻原料。貴店で扱うウナギに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「現在は、国産ものを中心にサイズは4.4尾〜5尾を扱っています。産地よりも、ウナギ自体の品質を優先して、常に納めていただいています。なお、活鰻の時と、焼いた後ではあまり縮まないものが良いウナギではないでしょうか」

ところで昨年9月に行われたワシントン条約では、ニホンウナギの附属書掲載を免れたものの、EUではウナギの資源・流通の実態調査を提案、可決されており、引き続いて予断を許さない状況にある。そんな、昨今のウナギ資源問題についての思い、考えはどうだろうか?

「限りある資源である、ウナギ稚魚の乱獲の件も是正などをさらに進めていく必要があると考えております」

一方、ウナギ資源問題と同様に、解決策の見えない、深刻な状態にあるウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「これからの時代は、専門店自体が職人の育成を担っていく必要があると考えています」

近年は、前述のように、ウナギ資源問題を始め、相場の高値安定、またウナギ職人不足の問題など、ウナギ専門店業界を取り巻く環境は一昔前に比べて大きく変化している。そうした中で、鰻専門店として今後、どう進んでいくべきだろうか。

「伝統の継承はもちろん必要ですが、一方では時代のニーズにマッチした商品、サービスの提供が必要であると考えています」

[データ]
「満る岡(まるおか)」
〒361-0057 埼玉県行田市城西4-6-21
電話:048-554-2263

満る岡市原マネージャーブログ.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」102 〜2017年6月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


磯 明生代表取締役
(竹江/埼玉県川口市)

ウナギは健康と美容によい食べ物」

今年も早いもので6月に突入した。すでに新仔の池揚げも始まり、一方では夏日となる地域も散見されるなど、夏土用に向けての期待感は日増しに高まっている。ところで昨今は活鰻仕入れ値が一昔前に比べて、高値安定で推移、利益率も相当圧迫されていると思われるなか、貴店の販売状況はどうだろうか。

「昨年同期と比べてだいたい、同じぐらいで、利益率に関しては若干、増加という感じです」

一方で厳しい販売状況下、販売促進、あるいはインバウンドにおいてどのような対策をしているだろうか?

「現状、とくに対策はしていませんが、今後に向けて考えていきたいと思います」

ちなみに商売をしていく上で要となる活鰻原料。貴店で扱うウナギに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「ウナギは、捌いた時に良いウナギか、悪いウナギかは大体、わかります。ほどよく、身が締まっていて、ふっくらしているウナギが良いと思います。ちなみに産地については、鹿児島産、宮崎産がほとんど国産のみの扱いです」

ところで昨今のウナギ資源問題についての考えは?

「これまでの資源の減少に関しては、やはり乱獲が一番の要因ではないかとみています。」

一方、ウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「このウナギ職員不足の件は、以前から問題になっていました。若い方がなかなかウナギ専門店の職に就かない事がひとつの原因でしょう」

近年、取り巻く環境が大きく変化する中、鰻専門店として今後、どう進むべきか、という命題もある中、ウナギのどのような部分に注目していますか?

「以前よりも、若い方が食事に来られる方が増えて来たと思います。やはり、ウナギは健康と美容に良い事がマスコミによって、広く知られるようになったからではないでしょうか。もっと注目していきたいですね」

[データ]
「竹江」
〒334-0001 埼玉県川口市桜町1-5-3
電話:048-283-8812

磯社長ブログ.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」101 〜2017年5月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


井口恵丞代表取締役
(うなぎの井口/浜松市浜北区)

「ウナギ資源保護は世界の大切な資源としての認識を持つこと」

早いもので6月も間近に迫った。貴店の販売状況はどうだろうか。

「売上は、昨年対比で若干あがっていますが、販売価格が高い状況が続いているので、お客様が買い疲れをしないか心配です。特に当店は地域のお客様に支えられ今日があり、インターネットでの受注増だけでなく、店頭へのご来店の客数、売上も下がらないように地道なサービス等で、丁寧な接客を心掛けたいです。利益率等は売価変更があまり出来ないので、販売管理費のチェックをまめにし、月次決算で計画と比較し予定通りで推移しているか毎月確認しています」

一昔前に比べて相場高のなか、販売促進、あるいはインバウンドにおいてどのような対策をしているか?

「商品単価が高い商材なので、チラシや折り込み等で新規顧客の獲得は費用対効果が薄い為、ご来店いただいた新規のお客様がお得意様になっていただけるよう施策しています。土地柄、インバウンドは見込めないので、商品開発やマスコミ等への掲載でも新規顧客の獲得を図っています」

ちなみに貴店で扱う活鰻原料に対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「当店は4尾~5.5尾サイズの国産うなぎのみを扱っています。良いウナギですが、当店は白焼をメインにし、蒸しを入れない為、活鰻の状態で身も骨も柔らかいものが使いやすいです。身や骨が固いとお客様からご意見をいただくこともありますので、お客様が食べやすい食感が好ましいです」

ところで昨今のウナギ資源問題についての考えは?

「専門店としてうなぎを大事に扱うことも必要だと思っています。当店は環境省や農林水産省、経済産業省のリサイクル循環資源の再生利用化計画の認可を取得し、残渣であるうなぎの頭を有機肥料に変え、地元の農業生産者さんに購入してもらい、売上の一部を親うなぎの放流事業へ寄付をしています。今や日本のみならず、世界の大切な資源としての認識を持ち、自分の立ち位置で出来ることから始めていく事が必要だと感じています」

一方、ウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「これから少子化がどんどん進み、伝統と言われる技術を要する仕事に従事する人はますます少なくなっていくと思います。その中で仕事へのやりがいや充実感、会社の今後の方向性などを丁寧に説明し育成するしかないと思っています。今の若い世代の考え方も理解しながら、会社の経営者も考え方を変える時期なのかもしれません」

近年、取り巻く環境が大きく変化する中、鰻専門店として今後、どう進むべきか?

「現在のメインターゲットは販売単価もあり、40代以上の方です。今の20代、30代の人はうなぎの価格が高くなってから大きくなっているので、その人たちが40代以上になった時は、うなぎを食べる習慣が少ない為、メインターゲットは50代以上になっていく可能性があります。お客様に品質とサービス、安心感や店への信頼感を日々お伝えしながら、お客様を育てる、ということも必要かもしれません。また、食の傾向や家族構成にあった商品やメニューも必要になってくると思います。地道に丁寧に仕事をすることが必要ですし、販売しているうなぎについての説明も出来るようにしたいと思います。養殖業者さんや問屋さんとコミュニケーションを深め、地域としてうなぎの付加価値やブランディングにも努めていくことも大事だと思っています」

[データ]
「うなぎの井口」
〒434-0041 浜松市浜北区平口253-1
電話:053-586-6863

井口ブログ用.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」100 〜2017年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


柴藤成利氏(40)
(本家柴藤/大阪市中央区)

『職人育成には子供の頃から鰻に興味を持ってもらうこと』

早いもので新緑の5月に突入した。早ければ今月にも、今シーズン初の新仔が池揚げされる見通しで、夏に向けて業界は盛り上がりを見せていく。そうしたなか、売行きはどうだろうか。

「今年は、去年に比べ外国のお客様も増え、プレミアムフライデーの効果もあってか、売行きは良かったです。また仕入れ値に関しても、最高値の頃に比べて価格も値下がっており、利益率も多少、回復しています」

一時期の相場高値により、ウナギ離れを引き起こしているウナギ業界だが、販売促進、あるいはインバウンド対策等は施しているのだろうか?

「4月に、春の土用丑の日がありましたが、当店ではとくに目立った変化はありませんでした。各季節の土用の丑の日の知名度は上がってきていると思いますので、宣伝していきます。一方、インバウンド消費の対策については、外国の方のためのメニュー作り、当店のホームページに英語でのブログ開設、また外国のアルバイトの方に通訳になっていただく、などですね」

ちなみに貴店で扱う活鰻原料に対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「当店では昔から5尾サイズを扱っています。私の考える良い鰻は、皮が柔らかい、焼くと身がふっくらする、ほどよい脂が乗っている、という3つの条件を揃えたものが良い鰻だと思います。ちなみに、新仔の出荷時期は良いのですが、3月、4月になると味に満足出来ない鰻が出てくるので、一年中、味が変わらず、安定した美味しい鰻を育ててほしいと思います。なお、外国の鰻、というだけでも毛嫌いするお客様もいらっしゃるので当店では、国産の鰻を使用しています」

ところで近年は “絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源問題が大きくクローズアップされている。これらの件について、どのような考えを持っているだろうか。

「資源保護は、個人でやるには限界がありますが、出来ることは行っていきたいです。植樹することで鰻の減少を抑えるという、運動があり協賛し、参加させていただいています」

一方、抜本的な解決策が見えない、ウナギ職人不足についてはどのような考えがあるだろうか。

「育成・確保には時間がかかりますが、子供の頃から鰻にふれ、鰻の業界に興味を持てもらうのが大事かと思います。子供のお客様には調理場を見学してもらうのもいいかもしれません。また鰻職人の数に対し、鰻屋の数が多いのが不足の原因かも、と思います」

取り巻く環境が大きく様変わりする中、鰻専門店として今後、どう進んでいくべきだろうか?

「鰻さんのおかげで、商売をさせていただき、毎日、感謝をして、鰻専門店として、美味しい鰻を焼いてお客様に喜んでいただくのが至上です。そのことを子供に伝えていきたいと思っております」

[データ]
「本家柴藤」
〒541-0043 大阪市中央区高麗橋2-5-2
電話:06-6231-4810

柴藤 のコピー.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」99 〜2017年4月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小松一史代表取締役
(御うな/長野県岡谷市)

『年間安定した美味しい鰻蒲焼を提供』

花見シーズンもピークを過ぎ、陽気もようやく春らしくなり、日によっては夏日とも言える暑さも。あと3ヶ月もすれば、夏の土用丑の日だけに期待感もこれから徐々に強まっていくなか、“うなぎのまち岡谷”でも有名な、このエリアでの販売状況はどうだろうか。

「昨年は7年に一度の御柱祭があり、多数の観光客が訪れ、一概に比較は出来ませんが、今年は花見客のツアーも増え、あまり落ち込みはありません。利益率は良いとは決して言えませんが、冬会席が順調に伸び、利益確保につながっています」

近年、うなぎのまち岡谷の会が発足20周年と長年にわたり、“うなぎのまち岡谷”がPRされてきている一方、外国人観光客など貴店でのインバウンド対策、また販売促進についてはどのようなことを行っているのだろうか?

「街ぐるみで『うなぎのまち岡谷』をPRしているため、県内外に認知度が深まり、お客様が来店していただけるようになりました。インバウンド消費については開店当初から通訳の出来る従業員を配置し、対応しています」

ちなみに貴店で扱う活鰻原料に対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「創業当時から産地を問わず、露地物中心に四尾サイズを使用しています。炭火で一気に焼き上げるため、あまり脂の乗ったものは好みません。皮はやわらかで青みがかかったものが良いです。夏場の鰻は大量に出回るせいか、品質が落ちます。年間通して品質が一定したものが欲しいです」

ところで近年は “絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源の問題がついてまわっているが、この件についての意見はどうだろうか。

「早期にトレーサビリティーの導入をお願いしたいと思います。シラス採捕地、生産地から最終消費、最終廃棄までの透明化を図り、需要と供給のバランスを明確にし、安価で大量消費されない様になったらと思います」

一方、ウナギ資源問題と同様、根深い問題の一つとなっているウナギ職人不足についてはどのような考えがあるだろうか。

「資源について色々と言われている現在、業界の未来は明るくなるのでしょうか。先細りになりそうな業界に人は集まるのでしょうか。そうしたことを踏まえると、魅力あるうなぎ業界にまず、しなければと思います」

取り巻く環境が大きく様変わりする中、今後はうなぎ専門店としてどうあるべきだろうか?

「うなぎの原料価格が上がっている今、夏のある一定期間にたくさん売るのではなく、年間を通じて安定した美味しい蒲焼を提供し続ける事が重要ではないでしょうか。店の雰囲気をはじめ、総合的に個性のある専門店としてお客様の満足度と売上が比例して上がるような店を作るべきだと思います」

[データ]
「御うな(おうな)小松屋」
〒394-0028 長野県岡谷市本町3-10-10
電話:0266-23-0407

小松一史社長(御うな小松屋) のコピー.jpg

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「蒲焼店が考える“これから”」98 〜2017年4月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


北御門(きたみかど)孝廣代表取締役
(北御門/長崎県諫早市)

『お客様に感謝される総合的な店作りが大事』

4月もなかばに差し掛かり、花見シーズンも終盤を迎えている。東京では先月21日、全国に先駆けて桜開花が宣言されたものの、冬に舞い戻ったかのような肌寒い日が続いた。ここ最近になり、ようやく、陽気も緩み、春らしい気候になるなど、いよいよ夏のシーズンに向けての期待感が強まっている。ところで、ここ最近の専門店の販売状況はどうだろうか。

「売上げは昨年に比べると少し伸びています。仕入値の方は一時より少し下がっていますので、原価率は高いけれども経常利益は悪くないと思います」

近年、外国人観光客の話題がメディアによって取りあげられるが、貴店でのインバウンド対策、また販売促進についてはどのようなことを行っているのだろうか?

「インバウンドのお客様についての対応としては、店のウエブサイトに英語、中国語、韓国語のページを載せております。また店内にも3か国語のメニューを置いております。一方、販促については原点に立ち返り、美味しい料理とお客様が快適に過ごす事が出来るような接客と店のしつらえに、常に気を配っております」

ちなみに貴店で扱う、うなぎに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「良い鰻の定義はなかなか難しいのですが、旨みが乗って、硬からず、柔らかからず、程よい噛みごたえ(たとえて言えばクリームコロッケではなく、じゃがいもコロッケといいますか)。そして程よく脂が乗って、皮が薄くさくっと切れて、皮下脂肪が少ない物が良いと思います。当店は国産鰻のみを使っています。田舎の方ではお客様がイメージ的に国産にこだわっている方が多いようです」

ところで昨今、“絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源保護・管理問題についてたびたび、取りあげられているが、この件についてはどのようなご意見があるだろうか。

「ニホンウナギ完全養殖の商業化については先日、国立開発法人水産研究・教育機構の増養殖研究所南伊豆庁舎を見学してきました。研究者の皆さんが情熱を持って一生懸命取り組んでおられ、とても頼もしく感じました。1日も早い人工種苗技術の確立が待たれるところですが、もう少し時間が掛かるようです。研究所に対してはもっと、“業界をあげて応援しています”というメッセージを伝えた方が良いと思います」

一方、ウナギ資源問題と同様、根深い問題の一つで頭のいたいウナギ職人不足についてはどのような考えを持っているだろうか。

「当店でも従業員不足に悩まされるようになってきました。やはり労働環境の改善などで飲食業界全体のイメージをもっと上げていかないとだめではないかと思っています」

取り巻く環境が大きく様変わりする中、今後はうなぎ専門店としてどうあるべきだろうか?

「鰻専門店として生き残りを図るには、先ずは飲食店として、そして接客業としてお客様が代金を払った上に『有難う楽しかったよ』と帰り際に言っていただけるような総合的な店作りが大事ではないかと思います。その上で専門店としての工夫や話題づくりのアイデア商品の開発等もしていくのが良いかと思います」

[データ]
「北御門」
〒854-0011 長崎県諫早市八天町4-3
電話:0957-22-0167

北御門 孝廣 ブログ用.jpg

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「蒲焼店が考える“これから”」97 〜2017年4月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


二代目 髙野俊明氏
(川八/静岡県南伊豆町)

『もっと天然うなぎの保護強化すべき』

4月に入り、各地で桜が開花、エリアによっては満開を迎えるなど待望の春到来となった。陽気も緩む中、夏へ向けての期待感が強まる今日この頃。ところで、ここ最近の専門店の販売状況はどうだろうか。

「1、2月で前年比約25%増となっています。一昔前の頃の原価率と比べると、現在のほうが悪化していますが、その分客単価がかなり上がっていますので十分カバー出来ていると思います」

近年、外国人観光客の話題が時折、取りあげられるが、現状はどうだろうか、また貴店では販促などを行っているのだろうか?

「販促やインバウンド消費の為の対策に関しては、特に行っていませんが、近年テレビや新聞で紹介される機会が増えた結果、来客数増につながっています。外国人旅行者に関しては年々、確実に増えていると実感していますが、当店では特に対策を実施していません」

ちなみに貴店で扱う、うなぎに対するこだわり、あるいは考えなどはあるのだろうか。

「シラスウナギが不漁になってから、サイズは3.5Pを中心に扱っていました。しかしながら、現在は4P中心の扱いです。良いうなぎというのは、食べて美味しいことは絶対条件ですが、持った感じがしっとりするような、引き締まった新仔がとくにいいと思いますね。産地にはこだわっていません。国産にこしたことはないですが、良ければ国産よりも高い、中国産も使います」

ところで昨今、“絶滅危惧種”だの“ワシントン条約”だのウナギ資源保護・管理問題についてたびたび、取りあげられているが、この件についてはどのようなご意見があるだろうか。

「これだけシラスウナギの不漁が続くと、親うなぎの保護はやはり必要だと思います。“うなぎが高いから“と、釣って食べる方が増えたと聞きます。大うなぎが釣れると新聞記事になったりもします、もっと天然うなぎの保護を強化する必要があると思います」

一方、ウナギ資源問題と同様、根深い問題の一つであるウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「私自身、修業は洋食でした。一流の方々に仕込んでいただき実家のうなぎ屋を継ぎました。実際にうなぎを扱ってその深みにはまりました。内容の良い店舗には良い人材が集まっているように思います。お客さんの数が不足しないように対策を考える方が先でしょうか、この辺は家族経営の店がほとんどで後継者がいるかどうかと経営内容で存続が決まってしまいます。育成のほうは実戦でどんどん技術を身に付けさせた方が職人を目指す方もモチベーションが上がりますし、早く戦力になりますし、得策だと思います。不足に悩んだら調理師学校に出向いて、うなぎ職人の魅力を伝える機会を積極的に設けてもらって志願者を獲得しますね。不足しているのは若い子たちからかっこよく映っていないのでしょうね。”下積みが長い“というイメージが強いというのも要因かもしれませんね」

ウナギ資源管理、ウナギ職人の不足問題、など取り巻く環境が大きく様変わりする中、今後はうなぎ専門店としてどうあるべきだろうか?

「うなぎ専門店とは職人(プロの料理人)のいるお店だと思います。お客さんは期待してながら、3,000円のお金を支払うのですから、オンリーワンを目指して地道にファンを増やすしかないと思っています。本年から完全にメニューをうなぎ料理に絞ってうなぎ専門店デビューを果たしました。地魚も天ぷらもすべてやめたにも関わらず、現在までの来店客数は確実に増えています」

[データ]
「川八」
〒415-0152 静岡県賀茂郡南伊豆町湊376-4
電話:0558-62-2215

二代目:髙野俊明氏ブログ用.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」96 〜2017年3月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


三代目 大森啓好氏
(中村家/さいたま市浦和区)

『“心のサービス”大事に、心地よい空間を常に提供』

全国的な春本番が刻々と迫るなか、専門店の販売状況はどうだろうか。

「売行きは、ピーク時に比べれば当然落ちますが、常連さんはじめ、新規のお客様も徐々に増えてきました。うなぎ屋さんを取り巻く状況は厳しいですが、現状維持+αを目指して頑張るのみです。近年は、4年連続のシラス不漁による相場高騰、そして供給不安には頭をいためました。また “ウナギはもう食べられなくなる”や“食べてはいけない“など一般メディアによる“興味本位”的な報道の影響も受けました」

近年、外国人観光客の動向はどうだろうか、また貴店では販促など、行っているか?

「つい先日、弊店では創業80周年を迎え、2日間限定でキャンペーンを実施しました。大幅値引きで鰻重を、またご来店のお客様には割引クーポンをそれぞれ提供させていただきました。普段、販促に関しては別段、特別なことをしておりませんが、今後もお客様のご要望があれば何か対応出来ればと考えています。またこのエリアは、近くに埼玉スタジアムがあり、アーティストのライブ、競技などのイベントがあるとお客様の入り方も変わります。ただ一方で、浦和駅周辺はアーケードがないので、雨など荒天のときは人が出てこないんです。ですから、天気予報等で“大雪予報”と出てしまうともう大変です。ちなみに外国人観光客の割合ですが、全体からしたらほんの数%です」

ちなみにうなぎへのこだわりは何だろうか。

「創業からずっと国産のみを扱い、今でもそれは変わっていません。その理由として、トラブルが少なく安定感があるからですね。また問屋さんとの信頼関係から、ただ重量だけの選別ではなく、“中村家さんなら、このウナギが好まれるだろう”と私どもが好むウナギを選んでくれており、有り難いです。ただ、見た目が良くても実際、白入れると『あれ?』と思うものもありますし、その逆も然りです。同じ活鰻原料でもタレやら、焼き手の技術、お店のスタイル等で大きく変わりますから、一概に活鰻原料をトータル的に判断することは難しい部分もあります」

ところで、昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「限られた資源のなかでは“無駄を減らす”ことですね。また天然ウナギ、あるいはシラスウナギを捕りすぎない事も重要かと思います。今の時代、当たり外れのある天然ウナギを扱わなくても、品質の安定した養殖ウナギがあります。ちなみにウナギは、食べなくても生きていける、のかもしれませんが、やはり長い歴史を持った文化ですし、幸せな気分になれるウナギはやはり特別でありますし、今後、資源を大切にすることはとても重要な事です。ちなみに協同組合浦和のうなぎを育てる会では、ウナギ完全養殖の研究機関への募金を集めているところです」

一方、ウナギ職人不足についてはどのような考えを持っているだろうか。

「イタリアン、フレンチ、中華、和食などに比べ、うなぎはメジャーではない感じが否めない。もっと調理師学校等に働きかけ、“うなぎの授業”を組み込む事も大切。そうした授業を通してまず、ウナギに触れさせるという、取っかかりが大切だと思います」

取り巻く状況が大きく様変わりする中、今後、お店としてどうあるべきだろうか?

「これまで以上に高いお金を払って来てくださるお客様のため、まじめに仕事に従事し、美味しいウナギを提供し続ける事、これだけです。弊社社長にもよく言われるのですが、“心のサービス”を大事に、心地よい空間を常にお客様に提供出来ればと思います」

[データ]
「中村家」
〒330-0063 さいたま市浦和区高砂3-2-12
電話:048-822-2585

三代目:大森啓好氏 ブログ用.JPG

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「蒲焼店が考える“これから”」95 〜2017年3月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


5代目 松下さやかさん
(三昌亭/鹿児島県奄美市)

『専門店だからこそ提供出来る料理を作りたい』

早いもので3月も半ばに入った。あと1〜2週間もたてばいよいよ、待望の春到来だ。オフシーズンの中、消費が低迷していたウナギ業界も夏の土用丑の日に向けて、徐々に盛り上がりを見せていく。ちなみに業界注目のシラスウナギ漁は終盤戦に突入しているが、現時点ですでに不漁だった昨年、一昨年の水準で、台湾、中国を含めても漁の期間をまだ2〜3ヶ月残しており、さらなる水準も充分に期待出来るなど業界としても一安心といったところか。
ところで、気になる専門店の販売、そして利益率はどのような状況だろうか。

「うなぎの仕入れ以外にもタレなどを作る材料やその他の仕入れ値も値上がっているため、利益率はやはり圧迫されています。3年程前に値上げを実施させていただきましたが、仕入れ値が全般的に値上がっているため、利益率はほぼ同じ状況です」

近年、外国人観光客の話題にのぼるが、現在、奄美大島で店を構える「三昌亭」さんの販売促進、また海外観光客への対策はどうだろうか?

「外国からの旅行者向けの対策は今のところ何もしておりません。ただ、その一方で東京、あるいは大阪と奄美を結ぶLCCが就航しまして、日本国内の他のエリアから、いらっしゃる旅行者の呼び込みのためにタウン誌等での広告やSNSを活用し、宣伝しております。また奄美大島が世界遺産登録に向け動いているので外国人旅行者向けにもこれから対策していこうと思っております」

ちなみに良いウナギとは?

「奄美大島は太ものを好む地域なので国産の4Pサイズを扱っています。私自身、うなぎをさばき始めて日が浅いので『良いうなぎ』というのが正直、どのようなものなのか、まだまだ分からないので日々勉強しております。ちなみに日本養殖新聞を見て養鰻業者さんも全国にたくさんあるのだと驚きました。うなぎのことについて、知らないことがたくさんあるので各地、養鰻場を見学するなどして色々と教えていただきたいと思います」

ところで、昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「ただひとつ、研究がさらに進み、ウナギ完全養殖の大量生産技術が確立されることを望んでいます」

一方、ウナギ資源と同様に、近年、深刻な状態になりつつあるウナギ職人不足についてはどのような考えを持っているだろうか。

「私は、生まれたときからうなぎが身近にある環境で育ってきました。自然にうなぎに興味を持ち、この道に進んできたのですが、意外とうなぎを召し上がったことのない方やどのように調理されているのか、存じない方もいらっしゃいます。小さい頃からうなぎを見られる、知れる環境、専門店でうなぎをさばいている姿や焼いている姿をもっとご覧いただくことで興味を持ていただけるのではないかと思います。そして、気持ちよく働いてもらえるような、職場の環境づくり、労働条件などの改善も大切なことだと思います」

専門店を取り巻く状況は大きく様変わりしている。今後、お店としてどうあるべきだろうか?

「東京から、奄美に旅行でいらっしゃったお客様に聞いて一般的なうな重やうな丼以外にくりからやひれなどがあることを知りました。それから東京の『うなぎ串焼き くりから』さんで勉強させていただいて、他にも様々な料理法があるのだと学びました。うなぎは本当に捨てるところがなく、まだまだ色々な調理の仕方があると思いますので、今までの伝統も守りつつ、専門店だからこそ提供出来るうなぎ料理を作っていきたいです」

[データ]
「三昌亭」
〒894-0032 鹿児島県奄美市名瀬柳町9-13
電話:0997-52-0618

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*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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「蒲焼店が考える“これから”」94 〜2017年3月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


斉藤 太治専務取締役
(ゑびす家/東京都葛飾区)

『技術継承をしっかり、より多くの人に鰻文化を伝える』

早いもので3月に突入、春到来も刻一刻と迫って来た。業界注目のシラスウナギ漁について、先月26日の“闇の大潮”は期待するほどシラスは採れなかった感じだが、日本においてシラス池入れは早い段階で進んでいたことから、そこまで悲観すべきではないだろう。
ところで、気になる専門店の販売、そして利益率はどのような状況だろうか。

「シラス不漁が続いたとき、メディアによる相次ぐ報道によって “うなぎは高いもの”という認識が消費者間で急速に広まるなか、当店でも鯉の洗い、鯉こく、四つ切りのミニうな重をセットにした、お得メニューがよく出ました。その後はスーパーで販売されるうなぎ蒲焼との価格差がなくなっていた事、かつお客様もこれまでの高値にある程度なれてきたのか、昨年の夏前ぐらいから、うな重(2,800円/1本付け)が出るようになりました。それまで、シラス不漁により仕入れ値が上がったときは他の商材でうまく調整し、メニュー価格はそのままに、ウナギ蒲焼の規格を変えるなどで対応していました。ちなみに近年は、土用丑の日に合わせて伊勢丹松戸店で鰻を販売していますが一昨年、昨年とおかげさまで売り上げを更新しています」

観光地である柴又での海外観光客の現状、また販売についてはどうだろうか?

「この柴又は、インフラ整備も整っていませんし、街自体のキャパも小さいですから、それほど多くない感じです。中国人などの爆買いは見られませんし、春節の時期も多い感じはなかったです。販促に関しては、京成電鉄の下町周遊きっぷ(京成線都内エリアが一日乗り降り自由)とタイアップして、集客効果に努めています。また当店では、刺身、天ぷら等もお出ししていますが、今後はウナギを重要視し、より前面に押し出して他店との差別化を明確に出していきたいですね」

ちなみに良いウナギとは?

「個人的には、“香りのよい”うなぎですかね。白を入れている時が一番、わかります。雑な香りもせず脂の質が良いのが好みです。特に皮目を焼いている時に落ちる脂の香り等、良いウナギの場合はたまらないですね」

ところで、昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「適正価格での商売を望む中、ウナギ完全養殖の商業化を願いたいですね。また今後のワシントン条約に関しては、附属書に掲載されないよう、水産庁にはぜひ、頑張っていただきたいと思います」

一方のウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「現在、当店では若い職人がおり、“今すぐ、どうのこうの・・・”というわけではないですが、将来的にはやはり調理師会に頼ることなく、自社育成を目指していきたいと考えています」

専門店を取り巻く状況は大きく変わる中、今後はお店としてどうあるべきか?

「これまで代々、伝わってきたこのウナギ蒲焼は、“いかに美味しく召し上がっていただくか”、という先人達の技術の粋を集めたもので、独自性の強い商材だと思います。それだけに私どももしっかり、基本に忠実に技術継承を行い、出来ることなら適正な価格水準に戻しつつ、文化をしっかり伝えていくため、ハレの日に限らず多くの人にウナギを召し上がっていただくことも大事だと思います」

[データ]
「柴又帝釈天 ゑびす家」
〒125-0052 東京都葛飾区柴又7-3-7
電話:03-3657-2525

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「蒲焼店が考える“これから”」93 〜2017年2月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


別府 晋代表取締役社長
(竹葉亭/東京都中央区)

『今後のうなぎ文化伝承を考え、            しっかりとした会社組織に』

昨今のオフシーズンでニッパチ月のなか、専門店の販売状況はどうだろうか。

「私どもの3店舗(本店、銀座店、横浜そごう店)では過去、仕入れ高騰により値上げを実施させていただきました。一番値頃なメニューも2,000円から2,000円台後半の価格水準になりました。当時は、社用で使っていただいている企業様でも“予算の厳しさ”を告げられましたが、何とか納得していただいた経緯もあります。ですから、あのピーク時にさらに値上がっていたら、あるいは数年前の仕入れ価格5,000〜6,000円/kgが長期にわたり推移していたら厳しかったでしょう。今の価格水準であれば何とかなるかな、という感じですが、社用メインだと近年は商売もし難いのではないでしょうか」

メディアを賑わす海外旅行客の動きはどうだろうか。

「メニューに英語、あるいは中国語表記をしていますが、他には別段、特別な事はしておりません。なお、当店では海外旅行客の割合は全体の30%前後を占めています」

ちなみに仕入れに関してはどうしているか。

「昔から、2カ所の問屋さんとおつきあいさせて頂いています。仕入れが高かろうが、常に荷物を切らさず、安定した品質の物を提供していただき、強固な信頼関係を築いており、不義理しないようにしています。仕入れる活鰻の品質面等に関しても、そうした双方の信頼関係から、問屋さんに全幅の信頼を寄せ、おまかせしています」

ところで、資源保護問題に対する意見はどうだろうか。

「ウナギ人工養殖研究施設に対する募金をさせていただきました。また、ウナギ資源は無限ではないですし、今後は消費をある程度、抑えていく事も必要かもしれませんね」

また、資源問題と同様に大きな課題の一つであるウナギ職人不足については?

「私どもでは本店で4人、横浜そごう店で7人、銀座店で5人の半数以上は20〜30代です。私どもでは15校前後の調理専門学校を毎年ゴールデンウイーク前に挨拶回りをしておりますが、実際ひとり来るか来ないかといったところでしょうか。それよりも、今の若い子達はお店に“修行”に来るというよりも“就職”にくるという意識が高いです。将来、独立してうなぎ専門店を立ち上げるという高い志を持った子は別ですが、一般的にはハローワークへの求人も、現実的な雇用形態(給料、労働時間、休暇)を記載し、受け入れ態勢をしっかりしておくことが重要だと思います。実際に毎年、うなぎ職人として2人ぐらい入ってきますよ」

近年、取り巻く環境が大きく変わる業界の中、専門店として今後どうあるべきだろうか。

「とある老舗蒲焼専門店の社長が話していた“偉大なるマンネリ”という言葉のように、あえて同じ事をしっかり繰り返していく事が大事だと思います。また一方では、未だ専門店は徒弟制度の延長線上にある感じですが、今後のうなぎ文化伝承を考えれば、しっかりとした会社組織にしていく事も大切だと思います。祖父が昔、話していた“従業員さんとその家族を大切に!”という言葉のように、従業員さんの働きやすい環境をしっかり構築し、利益も出来る限り還元する事も大事だと思います。ひいてはそうした事を通じて組織がしっかり出来上がり、最終的にはお客様ヘの美味しい料理の提供に繋がるのだと思います」

[データ]
「竹葉亭」
〒104-0061 [本店]東京都中央区銀座8-14-7
電話:03-3542-0789

別府晋社長 のコピー.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」92 〜2017年2月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


荒川 治代表取締役
(亀屋 一睡亭/東京都台東区)

『“出場所”“鮮度”“空気” 店作りにおけるポイント』

この2月も早半月。業界が注目するのは目下、シラスウナギ漁だが、先月末の“闇の大潮”は思うほどシラスが採れず、先行き不安が募っている。ところでオフシーズンの中、専門店の販売、利益率はどうだろうか。

「当店では全量、共水うなぎを扱っています。仕入れ値が上がった時は、すべてとは言いませんが、 “痛み分け”でお願いしますと申し上げ、お客様にも御負担していただき、メニュー価格もその都度、上げさせていただきました。ただ、お料理に大切なお米、うなぎの軸をぶらさず、会席料理の献立を見直せる部分は見直して上手に調整しておりますので粗利もほとんど変わっていません。働いてくれている方の生活、将来も考えてあげなければならない訳ですから」

また販売促進に関してはどうだろうか?

「口コミが一番と考えていますので、販促はあえて行っていません。お客様の舌は肥えていますし、私どももしっかりした料理を提供すれば、無理な宣伝をしなくてもお客様は必ずいらっしゃると考えています。お客様には、そのために食材の“出場所“、”鮮度“、にもこだわります。ちなみに鰻に関して言えば、産地がたびたび変わってしまうと仕事も変わってしまいますのでひとつに絞っています。お米に関しても然り。また生産者の方との意思疎通も容易ですからね」

ちなみに良いウナギとは?

「脂が均等に入った霜降り状態の物、しつこさを感じさせないウナギですね。無駄な脂分はなく、いただくと旨味があるものですね。また料理ばかりではなく、空気も味わっていただく、非日常の世界を味わっていただく、接客、雰囲気、季節感ですね」

ところで、昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「微力に過ぎないかもしれませんが、天然ウナギを扱わないという事もひとつじゃないでしょうか。昨今、流通しているのは養殖ウナギが大半ですので、資源問題を考えれば無理に“天然ウナギ”を扱う事もないと思います。それよりも養殖ウナギをいかに鮮度の良い状態で、提供するかに力を入れた方が何倍も良いと思います」

また、ウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「今は職人さんに関して困っていませんが、やはり近い将来を考えると発掘あるいは、育成していかねばなりません。ウナギを調理するという、洗練された繊細な技術を持っているのは世界でも日本のウナギ職人さんだけだと思うのです。地味ながらも基本を忠実にしっかり習得すれば、世界どこにいっても通用します。職人発掘、あるいは教育においてもそうした魅力等を上手にアピール出来れば今後もまた変わってくるんじゃないでしょうか」

様々な課題を抱えるうなぎ業界。専門店としてどうあるべきか、あるいはどうしていくべきだろうか。

「“どうしたら、お客様に喜んでいただけるか”、そしてまじめにじっくり育て上げられたウナギを丁寧に大切に調理する、基本に忠実なお料理を提供していく事が専門店としてやるべき事ではないかと思います」

[データ]
「亀屋 一睡亭」
〒110-0005 東京都台東区上野2-13-2 パークサイドビル1,2階
電話:03-3831-0912

荒川治社長ブログ用.JPG

















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「蒲焼店が考える“これから”」91 〜2017年2月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


8代目 大谷 晋一郎氏
(重箱/東京都港区)

『日本料理が客寄せで天然ウナギを扱うことの腹立たしさ』

2017年を迎え、早1ヶ月。専門店における、これまでのウナギ消費はどうだろうか。
「前年と大きく変わってないです。ただ利益率は、シラス大不漁となった時に仕入れ値が大幅に上がり、相当圧迫されています。当店、コースメニューのみで価格はいじらずボリュームもそのままです。ただ、代わりに年4回、庭師の方にお願いしている植木の手入れを3回に減らすなど、細かな部分で常に節約し、スリム化に力を入れていました」

販促、また何かと話題に上る外国人観光客への対応は?

「以前は常連のお客様に対して定期的にお手紙を出していましたが今は、不定期にお出ししているぐらいです。また近年は、外国人観光客が多く、当店では全体の10%ぐらいの割合を占めます。普段、接待需要で使われる事が多い当店ですが、観光でいらっしゃる海外からの観光客に対して創業220年という当店の歴史、赤坂がいったいどんな町なのか、お話しするようにしています。とくに220年という長い歴史に関しては海外のお客様も神秘的に思ってくださり、とても興味があるようです」

ところで調理をしていて、良いウナギとはどのようなものか。

「当然、安心、安全で健康なウナギが前提です。その上で白を入れた時にしっかり脂があり甘い香りがし、また蒸した時に肉がふわっと盛り上がる感じが良いです。かつ口に入れた時にやたら脂っぽくなく、パサつかず、きめが細かくとろけるような食感、鼻に抜ける甘い香りがするのもいいですね」

昨今のウナギ資源保護問題についてはどのようなご意見があるだろうか。

「我々、文化を担い継承していく立場として“天然ウナギを扱わない”という傾向が当然、強まっています。ただその一方、一部の日本料理店が夏にお客さんの食いつきがいいからと天然ウナギを扱い、しかも調理が下手、天然素材の良さも引き出されていません。天然ウナギに対して技術の未熟な人がしゃしゃり出てくるのもいかがなものかと思いますし、正直、腹立たしいです。またそうしたお店があるから漁師の方も天然ウナギを採ってきますし、悪循環となっています。国の方もそうした現状に鑑みてもっと規制を強くしてほしい」

資源と同様、深刻な状況にあるウナギ職人不足についてはどうだろうか。

「今の状況を生んだのは、我々お店の責任もありますし、そして職人さん自体にも問題があります。福利厚生、休日の設定など受け入れ態勢の充実は大前提です。その上で一番、足りないものは“スーパースター”なんです。サッカーなら本田圭佑、野球ならイチロー等、それぞれの世界に必ずスーパースターがいます。日本人が尊敬し、世界からは評価され、そんな人が、今のウナギ業界にはいません。スーパースターがいれば、若い子もその人を目標にどんなに修行がつらかろうが、頑張ると思います。一方で職人さん自体も意固地な方が目立ち、問題視される部分です。今の時代は昔と異なり、“ウナギだけ出来ればいい”という世界じゃないんです。ウナギ調理が出来るのは無論、社会人としてのマナー、挨拶が備わっているか、また他の専門店を訪れ勉強する意欲も大事だと思います」

様々な課題を抱える中、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか。

「うなぎ専門店は古い時代から“文化”というものを提供してきました。ウナギが出てくるまでの“間”を楽しむ事の大切さを、お客様一人一人に優しく伝えていきたいです。そして日本を代表する、世界に誇る文化である、うなぎの魅力を世界の人に向けて伝えるべく、“eel”ではなく、あえて“うなぎ”という言葉を熱くアピールしたいですね。また私自身も、若者の規範となり、憧れを抱かれるスーパースターになれるよう、邁進していきます」

[データ]
「重箱」
〒107-0052 東京都港区赤坂2-17-61
電話:03-3583-1319

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「蒲焼店が考える“これから”」90 〜2017年1月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


阿部展大氏
(花菱 四代目/東京都渋谷区)

『鰻職人不足問題、“福利厚生”の充実が鍵』

2017年を迎えてから、早いものでもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。シラスウナギ漁の動向に業界の注目が集まるなかで現在は一昨年、昨年の不漁年を上回る久しぶりの好調さを維持、今シーズンへの期待感も高まっている。

ところで専門店における、気になるウナギの消費に関して、これまでの動きも含めてどのような状況だろうか。

「昨年同期に比べて、若干のマイナスとなっています。しかし一昨年、メディア等の影響により、9月以降の売り上げが上がったため、今期はそこまで厳しい状況とは考えておりません。ただ、利益率に関しては依然として仕入れ値が高いことから、厳しい状況です」

ちなみに販促、あるいはインバウンド対策など、貴店ではどのようなことを行っているのだろうか。

「基本的に販促はホームページのみで行っています。インバウンド消費に関しては現在、英語のメニューしかないため、東京オリンピックに向け、他の言語のメニューも早急に作らなくてはと強く感じています。実際に外国のお客様が毎年、増加傾向にあるため、英語のメニューだけでは対応出来ない事が多々あります」

ところで、良いウナギとはどのようなものを指すのだろうか(扱いサイズは何尾?)、また国内外産へのこだわりはあるのだろうか。

「扱っているサイズは4、5、6尾です。良いウナギについてですが、まだ鰻を割き始めて日が浅いため、よくわからないのが実際のところです。ただ、どのような状態のウナギでも常に同じように調理し、提供出来るようにしていこうと思っています。また、使用しているウナギは国産です。曽祖父の代から一貫して国産を扱っているため、私の代になっても国産を使い続けていこうと思います」

近年、各方面でよく取りあげられているウナギ資源保護問題。IUCN(国際自然保護連合)により、ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されているが、昨年9月のワシントン条約締約国会議では、何とか附属書掲載を免れた。これらウナギ資源に対して、どのようなご意見があるだろうか。

「国内では大手チェーンなどが土用丑の日前後になると、こぞってウナギを販売している状況が見受けられると思います。そうした大手チェーンが資源保護のことを少しでも考えていただければ変化があると思います」

一方、ウナギ資源保護問題と同様に、依然として深刻な状況に置かれているウナギ職人不足問題、貴店ではどう考えているだろうか。

「ウナギ業界全体において、福利厚生面がしっかりしているところが少ないように思います。その部分を全体でしっかりさせていくことで、ウナギ職人さんも増えていくのではないか、と考えています」

資源、職人問題などウナギ業界全体を取り巻く環境は目に見えて変化している。活鰻原料相場も一昔前に比べて高値で推移している昨今、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきだろうか。

「個人的なスキルの向上とお客様に常に満足していただけるようなサービスで料理を提供していけるよう、今後もこれまでと変わらず努力していきたいと思っています」

[データ]
「花菱」
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-16-7 花菱ビル1階
電話:03-3461-2622

花菱、阿部展大さん のコピー.jpg

















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「蒲焼店が考える“これから”」89 〜2017年1月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


野本 修店主
(駒沢 宮川/東京都世田谷区)

『いかに“美味しさ”で唸らせ、感動させるか』

輝かしい新年を迎えた。業界注目のシラスウナギ漁は昨年12月から好調を維持。今シーズンは久しぶりに期待感も高まっている。

ところで気になる販売はオフシーズン真只中、これまでの動きはどうだろうか。

「私どものお店では、平成25年4月より、すべての活鰻をブランドの共水うなぎにし、メニュー価格維持のためサイズダウンしました。しかし、お客様の反応はいまいちだったこともあり、同27年10月より、価格をアップさせていただきましたが、サイズもすべてのメニューでアップさせていただきました。約1年以上が経過し、振り返ってみますと、仕入れは確かに上がりましたが、共水うなぎの認知度の高さ、サイズアップによるお客様の反応も良く、売上げもおかげさまで伸び、利益率も思うほど圧迫されていません。最近は、常連客と同じぐらいの割合で新規のお客様も増えています。なかでも若年層が目立ち、カップル、グループ、あるいは小さな子供連れの家族、などですね。

また“ここぞ”というときの“ごちそう感”、あるいは“ハレの日にはうなぎ”ということが浸透しているのか、または絶滅危惧種という貴重さが人気を後押ししているのか、わかりませんが、共水様様の部分も相まって、売れ行きも好調です。最近は“共水マニア”なるお客様もいらっしゃったほどです(笑)」

ちなみに販促、あるいはインバウンド対策などは行なっているのだろうか。

「ホームページには “共水うなぎ”の養鰻場見学リポートを載せたり、1匹をさばく大変さを表現するために調理の動画をアップしたり、目を引かせるようにしています。うちでは出前もしていますが “貴重な資源となったニホンウナギを最高の状態でお客様にお出ししていますので、すぐに召し上がっていただきたい、と考えております!!出前では残念ながらその味が落ちてしまいますので、是非お店の方まで足を運んでいただけたら幸いです”と書かせていただいたのが影響しているのか、一昨年ぐらいから出前よりもお店に足を運んでくれる人が増えました。

またインバウンドに関しては中国、台湾の方など、東アジアの方が増えてきていまして、まずは“英語表記”もメニューに追加しようか、考えているところです。ちなみにお店を構えるここ駒沢は高級住宅街で、私自身も修行時代色々なエリアの鰻屋さんを見てきましたが、客層は大分、異なりますね。鰻重も一番高い4,300円(税別)がすぐ売り切れますね」

ところで、良いウナギとはどのようなものか。

「私自身は、決して“柔らかい=美味しい”ではないと思います。柔らかすぎず、硬すぎず、かつ割きやすいヒネが良いと思いますし、それがまさに共水うなぎなんです。あとは養殖場の水の綺麗さも大切ですね」

ところで近年は、ウナギ資源がよくクローズアップされているなかでどのようなご意見があるだろうか。

「我々、鰻専門店として資源に直接関係する手助けはできません。ただ、貴重な資源だからこそ、私どもとしてはしっかり丁寧に仕事をし、無駄をなくすことが大切なんじゃないでしょうか。お客様を唸らせるために最高の仕事を常に心がけることが結果的に資源を思う事にもつながると思うんです」

一方、ウナギ職人不足問題についてはどうか。

「今の時代は、若い頃から洋食中心の生活になっているのも一つの要因ではないでしょうか。若い頃からウナギに接する機会がなければ、必然、職人になろうとする気さえ起きないわけですから。小さい頃にいかに専門店のウナギを召し上がっていただくか、その機会を今後は提供していかねばなりませんし、調理師専門学校でのウナギの授業などを今後も継続する事も大事ですね。あとは、私どもの世代がいかに上手な教え方を実践するかも大切ですし、給料など待遇面をよくすることも不可欠でしょう。昔は“包丁一本でお客様をうならせる”うなぎ職人に対するあこがれが強かった時代があり、懐かしいです」

取り巻く環境が大きく変わる中、うなぎ専門店は今後、どうあるべきだろうか。

「環境が大きく変わろうとも、いかにお客様を“美味しさ”で唸らせ、感動させるか?しっかりとした丁寧な仕事を常に心がけるだけですね。例えば、他の新しいことに力を入れすぎてしまうと、メインの仕事がおざなりになってしまいますし、私の考えとしては以上のように至ってシンプルです」

[データ]
「駒沢 宮川」
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢5-16-9
電話:03-3701-2205

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「蒲焼店が考える“これから”」88 〜2016年12月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


荒尾正樹代表取締役
(銀座 鳴門〈上野松坂屋店〉/東京都台東区)

「職人確保は週休二日、有給、残業、福利厚生の充実」

今年も早いもので、残り1ヶ月を切った。秋を通り越し、一気に冬らしい寒さに見舞われるなか、消費も一段と冷え込んでいる。毎年、訪れるオフシーズンのなかで、8月までの高値相場が影響し、消費者のウナギ離れを起こすなど荷動きの悪さを引きずり、現在に至っている。専門店において気になる売行き、そして利益率はどのように推移しているだろうか。

「私どもでは夏以降となる9〜11月の売り上げは昨年対比10%増と好調です。ただ、利益率は一昔前に比べると相当、圧迫されています」

多くの専門店では夏以降の売行きの急激な落ち込みが目立っている話が目立っていただけに、健闘しているようだ。ただ、仕入れ値は依然として高水準にあるだけに、利益率は圧迫されているようだ。一方で、販促、あるいはインバウンド対策等は行なっているのだろうか。

「百貨店では夏にチラシ、新聞、テレビを使って販促していただいています。ウナギ以外でも、何らかのイベントがあれば集客も増えますので売り上げも上がります。ちなみにインバウンドに関しては、百貨店内に通訳の人がおります」

ところで、良い鰻の定義、あるいは貴店で扱っているウナギに関して、国内で現在、流通している国産、台湾産、中国産とあるが、どのようなこだわり、あるいは考えを持っているのだろうか。

「ウナギに関しては柔らかく、脂の乗ったウナギが良いと思います。また、扱う鰻については百貨店の意向もあり、当店では国産しか扱っていません」

ところで近年は、ウナギ資源の厳しい現状が大きく取り沙汰されている。懸念されたワシントン条約に関しては今回、掲載回避となったが、2〜3年後に再び行なわれる。次回に関してはかなり旗色が悪い事も確かだ。ニホンウナギの見通しは決して明るくないなか、資源問題に関してどのようなご意見があるだろうか。

「稚魚、天然ウナギをとって生活している人たちがいるなかで、“採るな”と言うことは難しいことだと思います。ただし、ルールを守らない人は別ですが。とにかく、ウナギ完全養殖の商業化に期待しています」

業界に重くのしかかるウナギ資源問題の一方で、同じくらい重要なのが、ウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか。

「当社は、ウナギ職人不足に陥っていません。週休二日、有給、残業、福利厚生の充実、能力給制度にすることが大切。早く割けたら“●●円”などで若い人にやる気を出させるブラック的なウナギ屋根が目立つ感じです。一方では“ウナギがいなくなる!”などマスコミの過剰な報道も気になるところです」

前述のように、あらゆる場面で様々な問題を抱えた状況にあるウナギ業界。資源問題は無論、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、どれも厳しいものばかりが目の前に立ちはだかる。そうした状況下、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきだろうか。

「当店は百貨店の中なので、なかなか自分の思うように出来ない事も多々あります。しかしながら、今出来ることを一生懸命にやるしかないと思っています」

[データ]
「銀座 鳴門<上野松坂屋店>」
〒110-0005 東京都台東区上野3-29-5
電話:03-3832-1111(内線:3845)

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「蒲焼店が考える“これから”」87 〜2016年11月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


原田恵介店主
(うなぎの三河/愛知県豊田市)

「昔からある技術を変えずに続けていくことが大事」

今年も早いもので残り1ヶ月余りとなった。昨今は一気に冬らしい寒さに見舞われ、消費は低迷、荷動きの指標となる、東京淡水魚卸協同組合の10月分のデータを見ても依然として昨対減が続き、厳しい状況を強いられている。専門店においても売行きが懸念されるところだが、店舗改装の効果、あるいは利益率などどのように推移しているだろうか。

「7月に店舗改装したこともあり、昨年より売り上げは伸びています。仕入れ値が上がっているため、売り上げが伸びても利益があまりない感じがします」

夏場以降、多くの専門店間では、昨年以上に売行きの落ち込みが顕著だったという声が案外、目立った。加えてオフシーズン、値下がっても未だ一昔前に比べて高い水準にある活鰻価格。そうしたなか、販売促進、あるいはインバウンド消費のためにどのような対策を実施されているか。

「Facebook、LINE、TwitterなどのSNSを利用した宣伝をしています。一方、インバウンド消費に対しては、立地的に外国人旅行者は少ないのでとくに対策はとっていません」

ところで、貴店にとってどのようなウナギが良いウナギと呼べるのか。また国内では現在、国産は無論、台湾産、中国産が流通しているなかで、海外産に対してどのような考えを持っているのだろうか。またその理由は何だろうか。
「国産の3.5尾か、4尾を使用しています。仕入れの問屋は父の代から50年以上の付き合いなので、信頼して仕入れしています。当店では肉厚の太いうなぎを皮をぱりっと身をふっくらと焼き上げるので、ほどよい脂の乗ったうなぎが良いと思います。中国産を使用する事がたまにありますが、脂が乗り過ぎて焼きにくい印象があります」

ウナギ資源を取り巻く状況は依然として厳しい状況に置かれている事は、先日行なわれたうなぎ未来会議でも改めて浮き彫りとなった。兼ねてから注目された、ワシントン条約に関しては今回、掲載回避となったものの、次回開催時(2〜3年後)には、ニホンウナギがかなり厳しい状況に置かれる可能性は高く、見通しは決して明るくない。そんな資源問題に関してどのような意見を持っているだろうか。

「ウナギ完全養殖の研究には、国からもっと予算をつけて早期に実用化してほしいです。ウナギ文化は、日本を代表する文化でもあるので、国でウナギを守ってほしいです」

先行きが依然として見通せないウナギ資源問題と同じくらい、専門店に重くのしかかる重要な問題であるウナギ職人不足。この件について現在はどのような考えを持っているだろうか。

「チェーン店でうなぎが容易に食べられるのが原因だと思います。専門店で食べるうなぎをもっとメディアでPRしてもらいたいです。機械化が進み、職人が不足しているのはどの業界も同じかと思います。『安物買いの銭失い』をやめるべきだと思います」

大きく様変わりするウナギ業界。専門店としては今後、どうあるべきか。

「昔からある技術を変えずに続ける事が大事だと思います。アレンジはその先にあると思っています。変わらない定番メニューを守りつつ、時代に合わせたアレンジも必要になってくるのかと思います」

[データ]
「うなぎの三河」
〒444-3206 愛知県豊田市羽布町鬼ノ平1-16
電話:0565-90-3473

原田恵介店主ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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「蒲焼店が考える“これから”」86 〜2016年11月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


牧野 順二代表取締役
(廣川/京都市右京区)

『売上の5割以上が海外の方』

11月に入り半月、今年も残り1ヶ月半となった。最近は秋を通り越し、一気に冬らしい寒さに見舞われ、消費も一段と冷え込んでいる。オフシーズンのなか、これまでの高値が影響し、消費者のウナギ離れを起こすなど、荷動きは全体的に低調のまま推移している。専門店においても同様で、懸念される売行き、利益率などどのように推移しているだろうか。

「一昔前に比べますと、確かに利益率としては少し下がっております。しかしながら、当店においては売り上げ自体が毎年増加している為、利益そのものは増加しております」

昨年に比べて、多くの専門店で聞かれるように、夏場以降の売行きの急激な落ち込みが目立っている。ただ京都という場所柄、外国人も含め、常に多くの観光客でにぎわっていると思われるが、現状はどのような感じだろうか。

「観光都市、京都・嵐山という好条件の立地という事にも助けられ、ここ数年のインバウンド、特に蒲焼を食する文化のあるアジア圏からのお客様の勢いは凄いものがあります。また、SNSによる情報の伝達の速さ・広まり方もあり、現在においては売り上げの5割以上が海外の方によります。むしろ変化のあまりの激しさに、日本人の常連様が来にくくなる、という環境に悩んでおります」

ところで、良い鰻の定義、あるいは貴店で扱っているウナギに関して、国内で現在、流通している国産、台湾産、中国産とあるが、どのようなこだわり、あるいは考えを持っているのだろうか。またその理由は何だろうか。

「もちろん食されたお客様が美味しいと言っていただけるのが良い鰻です。当店では国産のみ使用していますが、中国産・台湾産とも美味しい鰻はあります。しかしながら、生産者を指定・特定するのが困難な為、使用しておりません」

ウナギ資源を取り巻く状況は依然として厳しい状況と言わざるを得ない。ワシントン条約に関しても今回は、掲載回避となったが、次回においてニホンウナギはかなり厳しい状況に置かれる可能性は高く、見通しは決して明るくない。そんな資源問題に関してどのようなご意見をお持ちだろうか。

「日本古来の淡水魚(ウナギを含む)が減少しているのは河川の環境の悪化にもあると思います。下りウナギの採取は無論、禁止するべきだと思います。完全養殖は本当に必要とあれば、官・民(養鰻業者・小売業者)挙げて取り組むべきです」

引き続いて、先が見通せないウナギ資源問題。一方で、同じくらい重要な問題がウナギ職人不足。この件について、現在はどのような考えを持っているだろうか。

「技を極めたウナギ職人が高給を取り、プライドを持てるような職場環境を増やしていく事だと思います」

前述のようにあらゆる場面で、様々な課題を抱えるウナギ業界。ウナギ資源問題をはじめ、職人問題、相場の高値安定によるマーケットの縮小など、取り巻くものはどれも厳しい者ばかりだ。そうした状況下、うなぎ専門店としては今後、どうあるべきか、どのような思いがあるだろうか。

「ウナギの価格が上がる事は、むしろ専門店にとっては良い事だと思います(もちろん程度はありますが)。スーパーでも、鰻蒲焼はもはや高値であるなら、焼きたての蒲焼を”ご馳走“として専門店で食べようという形になれば理想と考えます。海外のお客様からは『生まれて初めてこんなに美味しいものを食べた』と嬉しい反応を多数いただきます。ウナギにこだわり、技術を磨き、高級食として、日本を代表する料理の一つとして、鰻蒲焼を広めていければと切に思います」

[データ]
「廣川」
〒616-8374 京都市右京区嵯峨天龍寺北造路町44-1
電話:075-871-5226

蒲これ牧野順二代表ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

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